ほのぼの文庫

 

 



お月さん、とんでるね―点頭てんかんの娘と共に生きて (銀鈴叢書ライフデザイン・シリーズ) Book お月さん、とんでるね―点頭てんかんの娘と共に生きて (銀鈴叢書ライフデザイン・シリーズ)

著者:夏野 いづみ
販売元:銀の鈴社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

 

 

 娘との25年間の日々を綴った手記『お月さん、とんでるね 点頭てんかんの娘と共に生きて』 を銀の鈴社より3月20日に刊行しました。

 各章冒頭に、自作の短歌を添えています。ご一読いただき、ご意見など賜れれば幸いに存じます。

 どうぞよろしくお願い致します。     夏野いづみ

 

追記1: ホームページを開設しました。
「夏泉湧語」(kasenyu-go) http://kasenyu-go.com 、6月に閉鎖予定です。

追記2:『お月さん、とんでるね 点頭てんかんの娘と共に生きて』が全国学校図書館協議会の選定図書に選定されました。(2012年8月)

追記3:拙著『お月さん、とんでるね』が音声図書として完成し、サピエ図書館https://www.sapie.or.jp/に登録されたとのお知らせをいただきました。

追記4ベルマーク教育助成財団のホームページの「読んでみたい本」にて児童文学者 鈴木喜代春先生に拙著『お月さん、とんでるね』をご紹介いただきました。

追記5暦日夕焼け通信にて、福岡在住の歌人 恒成美代子さんに拙著『お月さん、とんでるね』をご紹介いただきました。こちらです。

追記6中央大学ダイバーシティ推進×ハラスメント防止啓発ウィーク2022
『差別に対抗する「知」特集』2ページ36番で拙著『お月さん、とんでるね』の書名が掲載されています。

追記7:コクーンの日々是好日にて、『お月さん、とんでるね』をご紹介いただきました。こちらです。

 

 

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2024年5月12日 (日)

「平和を伝えるバラの花」(夏野いづみ作/牧野鈴子絵)が『ものがたりの小径 届く』(銀の鈴社)に掲載されました!

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。

  本業多忙のため、ブログの更新ができずにいましたが、2024年3月末に退職しました。今後は、随時ブログを更新していきたいと思っていますので、引き続き、よろしくお願い致します。

 この度、銀の鈴社から刊行された『ものがたりの小径 届く』の高学年向けに「平和を伝えるバラの花」(夏野いづみ作、牧野鈴子絵)が掲載されました。アンネ・フランクを偲んで、ベルギーの園芸家により作出されたアンネのバラにまつわる創作物語です。お読みいただけるとうれしいです。

銀の鈴社は、こちらです。  Amazonは、こちらです。

 

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2023年4月 9日 (日)

「たんぽぽ通り夕日坂」(夏野いづみ作・福田岩緒絵)が『ものがたりの小径 カレンダー』(銀の鈴社)に掲載されました!

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。

  本業多忙のため、ブログの更新ができずにいますが、昨年より、児童文学作家・日野多香子先生の講座にオンラインで参加しています。 引き続き、よろしくお願い致します。

 銀の鈴社から2023年4月8日に刊行された『ものがたりの小径 カレンダー』の高学年向けに「たんぽぽ通り夕日坂」(夏野いづみ作、福田岩緒絵)が掲載されました。お読みいただけるとうれしいです。

銀の鈴社は、こちらです。  Amazonは、こちらです。

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2023年1月 9日 (月)

絵本『絵巻 万葉ものがたり』(阿見みどり/画・文)(銀の鈴社)のご紹介

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。  本業多忙のため、ブログの更新ができずにいますが、昨年より、11年ぶりに児童文学作家・日野多香子先生の講座にオンラインで参加しています。 引き続き、よろしくお願い致します。  今日は、久しぶりに書評をアップしました。

 

『絵巻 万葉ものがたり』は、画家である阿見みどり氏が制作期間10年をかけて完成した絵本である。水彩画と書による絵巻全四巻(上・下巻の計八軸)には、万葉集の約4500首から選出された100首が収められ、「万葉びとの自然観」「万葉びとの愛」「万葉びとの想い」「万葉びとと草花」をテーマに、それぞれ25首ずつが各巻に収められている。水彩画は、「鳥獣戯画を師と仰ぎ、ほとばしるように動く絵筆に委ねた」という豪華本である。

 

 阿見みどり氏は、国語学者で万葉集の研究者だった父(山口正氏)の影響もあり、幼い頃から万葉集に親しみ、大学の卒業論文でも万葉集をテーマとして取り上げており、画家となってからは、万葉集に詠まれた草花をモチーフに描き続け、野の花画家としての地位を確立している。「『若い人や海外の人にも、世界に誇れる万葉集という文化を身近に感じ、味わってほしい』という強い気持ちで作り上げました」という氏の思いが、絵本の各ページに添えてある氏の文や意訳に貫かれ、Bruce&Yuko Rutledge夫妻による氏の英訳により、海外の読者の心にも届くように作られている。

 

 国文学者の村瀬憲夫氏による「監修のことば」と阿見みどり氏の「はしがき」に、氏による新解釈が施されている歌があることが記されている。本書30ページの「天の香具山」の歌や53ページの「堅香子の花」の歌の独自の解釈に、画家として、また、編集者として仕事を重ねてきた氏の深い洞察力が感じられる。Rutledge夫妻による英訳は、万葉集の原文の英訳ではなく、氏による現代語訳(意訳)の英訳であるため読みやすい英語となっている。

 

 本書を紐解くと、氏の水彩画と書を通して美しい日本の四季と万葉の時代の風景や衣装、建物、人々の生活を堪能することができ、さらに氏の意訳、そして、その英訳により、選び抜かれた万葉集の歌100首への理解を深めることができる。抒情性豊かな水彩画と歌と解説が三位一体となって響き、中学生から大人まで、また、海外の読者まで、万葉集を楽しむことができるグローバルな絵本である。令和の時代に蘇った万葉びとのものがたりとしてお薦めの一冊である。 Amazonはこちらです。

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2022年10月20日 (木)

新藤悦子著『いのちの木のあるところ』刊行記念 複製原画展(@早良南図書館)

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。  本業多忙のため、ブログの更新ができずにいましたが、本日、福岡市の早良南図書館で開催中の『いのちの木のあるところ』(新藤悦子著/佐竹美保絵)の刊行記念 複製原画展に出かけました。繊細で大胆な挿絵を見て、物語の感動がじわっと深まりました。会期は10月末までです。(感想を書くノートがありますので、そちらに感想を書くと特製しおりがいただけます!)

 

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2022年10月18日 (火)

「睦モクヨンビルプロジェクト」セカンドゴールをご支援ください!

 ブログ「ハンナの祈り」をお読みくださりありがとうございます。


 


 今日は標題のプロジェクトへのご支援のお願いです。


 


 私の教え子のお父様が長崎県の壱岐で以下のプロジェクトを立ち上げられました。「脱炭素社会に資する無垢製材現し4階建木造ビルプロジェクト」です。


 


 ぜひ、ご支援いただきたくご紹介申し上げます。こちらです。


追記させていただきます。開始5日間でファーストゴールの80万円を達成されました。ネクストゴールの800万円が設定されています。日本初の脱炭素社会に資する4階建て木造建築の試みを引き続き応援したいと思っています。 


 


 


 


 


 

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2021年3月21日 (日)

『鬼の橋』~読むたびに味わいが深まる歴史ファンタジー

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。

 本業多忙のため、ブログの更新ができずにいましたが、また、児童書を読む機会を得ています。引き続き、よろしくお願い致します。

 今日は、伊藤遊著『鬼の橋』を再読しました。


 『鬼の橋』は第3回児童文学ファンタジー大賞の大賞受賞作品である。1997年度に大賞受賞後、翌年10月に福音館書店から初版が出版されている。物語の舞台は平安時代の京都、主人公は、妹を亡くし失意の日々を送る少年篁である。ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込む。そこでは、すでに死んだはずの征夷大将軍坂上田村麻呂が、いまだあの世への橋を渡れないまま、鬼から都を護っていた。
 妹の死への負い目を背負い、大人になれない篁、両親に死に別れ、深い孤独を抱えて生きている阿子那、人を無惨に食い殺すという悪行を重ねてきた鬼の非天丸、三人が平安の世で、ある橋を通して出会い、それぞれの負い目や過去の罪や孤独感を乗り越えて生きていく。小野篁を中心とした物語であるが、阿子那と非天丸の関係抜きには語れない物語である。
小野篁や坂上田村麻呂という実在の人物を登場させることを通して、読者は平安時代にまつわる様々なイメージを喚起しながら、物語世界に入ることができる。確固たる時代考証に裏付けられており、平安時代の精神を巧みに描き出している。篁、阿子那、非天丸の三者がそれぞれの物語を生きている。それぞれの物語が、作者の心の闇のフィルターを通して描かれているため、読者の心に響く。
 橋について考えさせられる作品でもある。非天丸が「橋はあると思えばある、ないと思えばない。」という。橋は本来つながっていない場所をつなぐものであり、境界線上にある。篁が蹴り飛ばした橋は、父である岑守を象徴しているのではないか。自分に元服を強い、妹の存在を忘れるように言い、篁の抱える心の負い目に寄り添おうとはしない冷徹な父、そんな父を篁は敬いつつ、疎ましく思っていた。篁も父の心に寄り添えなかった。しかし、橋を通して、阿子那や非天丸と出会い、あの世の橋を通して、坂上田村麻呂と出会い、この世の橋の大切さを理解するようになり、父の心に寄り添ってゆく。
 阿子那にとって、また、非天丸にとっての橋は...。かつての友を追い切れず、あの世の橋の手前で泣いている坂上田村麻呂の姿が印象に残る。田村麻呂は、日本初の征夷大将軍であり、蝦夷の英雄、阿弓流為との対決や鬼退治の英雄として語り継がれている。歴史上の英雄である田村麻呂が一人寂しく泣く姿に、人間誰もが抱えている潜在的な不安感や疎外感や孤独感が象徴されている。そんな弱さを抱えて生きているのが人間なのだ。『鬼の橋』は読むたびに味わいが深まる作品だ。

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『しまふくろうのみずうみ』~幼児から大人まで魂を揺さぶるような感動を与える美しい絵本

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。

 

 本業多忙のため、ブログの更新ができずにいましたが、また、児童書を読む機会を得ています。引き続き、よろしくお願い致します。

 

 久しぶりに昔話の『かさじぞう』を読んだあと、絵本を再読しています。今日は、北海道在住の版画家手島圭三郎氏の『しまふくろうのみずうみ』を紹介させていただきます。

 

 

 『しまふくろうのみずうみ』は、北海道在住の版画家手島圭三郎氏が初めて手掛けた絵本である。
 北海道の深い山奥の誰も知らない湖を舞台として描かれている。獣たちが寝静まった頃、しまふくろうの親子が登場し、子どものために夜明けまで何度も交代で魚を捕りに行くお父さんとお母さんの姿が版画を通して、力強く再現されている。
 自然界の中で生きる糧を得ることは至難の業である。餌が見つからず、木に止まって体を休めるお父さん、そして、お腹を空かせて鳴く子ども、お母さんの鳴き声も響く。その声に勇気を得たかのように再び飛び立つお父さんが獲物を捕る場面では、羽を広げる音や水の音、魚が跳ねる音が絵本の中から聞こえてくるような迫力を持って描かれている。魚を捕った後に生じる湖面の波紋が美しく、心に安らぎをもたらすのも特徴である。
 手島氏は、北海道オホーツク沿岸の紋別市に生まれ、国鉄職員の父の転勤により、網走管内の村や集落で暮らしてきた。北の厳しい自然の中で育ち、幼いころから絵を描くことを好み、自然の中で昆虫や魚や虫と戯れる孤独な遊びを好んだ。成人して中学の美術教師となり、油絵を描く画家から木版画を彫る版画家に転向し、42歳の時に版画の創作に専念するために教師の職を自ら辞する。
 最初に、氏の版画に絵本の可能性を見い出したのは、編集者の松居友氏であった。氏が日本版画協会展に出品していた作品-湖を背景に月あかりの中を飛ぶシマフクロウの姿に感動し、絵本の作成を依頼した。松居氏のねらいは、幼児から大人まで読める絵本であった。従来の絵本の世界の動物は、中身が皆、人間である。松居氏は、これまでの童画を打ち破るような原始的な世界を描いてほしいと願い出た。そのような経緯で『しまふくろうのみずうみ』が出版の運びとなった。児童文学の世界からは、子どもの眼を通してみたものを表現していくべきではないかとの厳しい批判が出たが、そうした批判をよそに、デビュー作にして日本絵本賞を受賞している。
 自然の厳しさとしまふくろうの父親の力強さ、自然が見せる安らぎとしまふくろうの母親の存在、絵本の中で、父性と母性が調和して、しまふくろうの親子のあたたかい営みが感じられる絵本である。幼児から大人まで魂を揺さぶるような感動を与える美しい絵本である。

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2021年2月11日 (木)

久しぶりに児童書を読んでいます。まずは、昔話『かさじぞう』からです。

 「ほのぼの文庫」を訪れてくださり、ありがとうございます。

 本業多忙のため、ブログの更新ができずにいましたが、また、児童書を読む機会を得ています。引き続き、よろしくお願い致します。

 久しぶりに手にしたのは、福音館書店の絵本『かさじぞう』です。

 

 『かさじぞう』は、『六地蔵』として知られている日本の昔話である。様々な再話で知られているが、瀬田貞二の再話による福音館書店の絵本では、「編み笠を作って暮らしているじいさんが、正月の餅を買うために、笠を五つ持って町に売りに出かけるが、さっぱり売れない。そのうちに日が暮れて雪も降ってきたので、しかたなく家に戻る。その途中で、野原に立っている六体のお地蔵さまに雪が積もっているのを見て、売れ残った笠5つと自分の笠まで、持っていた笠を全部かぶせてあげた。翌朝、どこからか橇引きの声が聞こえ、餅などの食べ物が届けられる。」というストーリーになっている。
 

 赤羽末吉画伯が最初に手掛けた絵本である。白い雪の風景が大胆な線で描かれており、ところどころに差し込まれた青や緑や赤や黄色に雪までもが生命観を持って迫ってくる力作である。正月を前に子どもたちに読み聞かせをすると、ページをめくるたびに食い入るように絵を見つめていた。大晦日の夜、老夫婦のもとに六体のお地蔵さんが餅を届けに来るという物語の結末に、絵本の読み手と聞き手である子どもたちの間にあたたかい空気が満ちる。子どもたちに伝承したい日本屈指の名作絵本である。
 

 編み笠の数は5つであったり、7つであったり、また、お地蔵さんの数やお地蔵さんに会うのが行きであったり帰り道であったり再話により違いがあるようだが、おじいさんの私利私欲を超越した無垢な行為に心温まる物語である。小学校でも国語や道徳の教科書に採用され、子どもたちにやさしさや思いやりについて考えさせる昔話として親しまれているが、子どもたちだけでなく、あらゆる年代に訴えかける昔話でもある。
ユング派精神分析医アラン・B・チネンの『成熟のための心理童話 喜びと力をとりもどす15の物語』でも取り上げられているが、老年期の人生の課題に焦点を絞って再読すると深い洞察を秘めた物語として心に迫るものがある。

 貧しい老夫婦は、餅を買うお金が得られない。雪で寒さが極まっている。年を越すお金も食べ物も乏しい。貧しさと寒さの中で、お地蔵さんは子供たちの守り神であるから、おじいさんにとっては餅よりも大切にすべき存在だった。おばあさんもそれをよしとしている。
社会的規範からは愚かしい行為をしているように見えるが、餅を買うために作った編み笠を路傍のお地蔵さんにかぶせてしまった老人の行為は、子供っぽくはない。おじいさんは一応、村で笠を売ることを試みた上で、売れ残った笠をお地蔵さんにかぶせている。子供のような自発性と成熟した実用性に裏付けられた「無垢」な行為であり、富を拒絶した行為でもある。
 

 アニミズムという視点からも、おじいさんの行為は、六体のお地蔵さんがさも生きているかのように語りかけている。友人や家族だけでなく、動物や植物、物までもかけがえのない存在として体験することができる神秘的な体験である。結末では、雪の中、冷たく立っていた六体のお地蔵さんが生き物になる。いかに貧しく、厳しい人生でも、再生の機会が残されているという希望が与えられる。
餅という食べ物に関して、おじいさんとおばあさんは、単にお正月の餅が食べたいという意味で餅を欲しがっていたわけではない。年神様に供える餅を求めていたのだ。二人の無垢な思いが、結末で叶い、神聖な存在と結びついている。
 

 年齢を重ねるにつれて、親兄弟、親類縁者、友人知人を亡くし、気力、体力も衰えていく。老年期は、喪失の体験が重なる中で、喪失とどう向き合い、凌いでいくかが問われる。そんな中で、昔話は、私利私欲を超えた「無垢」やアニミズムによる神秘的な体験、再生、若返り、神聖な存在との結びつきという、若いころには得られなかった体験を与えてくれる。現実のごくささいな、ありふれたものを肯定して受け入れ、失われた過去や未来へのあこがれから解放され、ありのままに今の人生を受け入れることで、実際的な合理性と社会規範を超越することができるのかもしれない。昔話は啓示に満ちている。生きる希望が与えられた。

 

 

 

 

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2020年10月19日 (月)

新藤悦子著『アリババの猫がきいている』がThe White Ravens 2020に選定されました!

新藤悦子さん『アリババの猫がきいている』、梨屋アリエさん『きみの存在を意識する』の2冊が、2020年の国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ(The White Ravens 2020)」に選定されました!

 

「ホワイト・レイブンズ」は、ミュンヘン国際児童図書館が、世界の優れた児童書を多くの国の子どもに読んでもらうことを目的に作成するリストで、各国の児童書関係者から高い評価と注目を集めています。こちらをご覧ください。

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2020年3月29日 (日)

新藤悦子著『南方熊楠: 森羅万象の探究者 (伝記を読もう) 』– 2019/4/1

 ブログ「ほのぼの文庫」を訪れてくださいましてありがとうございます。

 本業の英語科教員としての仕事があわただしく、ブログの更新を滞っていましたが、休校中の生徒たちに薦めたい一冊を紹介させていただきます。児童文学作家の新藤悦子さんが2019年4月1日にあかね書房から出版された伝記『南方熊楠: 森羅万象の探究者 (伝記を読もう) 』です。以下、まざあぐうすの書評です。

 

書評:南方熊楠~自らの才能を生き抜く

 トルコや中近東に関するノンフィクションやファンタジーなど様々な作品を発表してきた児童文学作家の新藤悦子さんが南方熊楠の伝記を手がけました。子供向けの伝記は初めての試みだそうです。

 博物学者、生物学者、民俗学者して知られる南方熊楠は、実際には一言で言い尽くせない肩書をもつ人物です。1867年、和歌山城のそばで生まれた熊楠は、子どもの頃、驚異的な記憶力を持つ神童でした。並外れた読書家で、旧制中学入学前に『和漢三才図会』『本草綱目』『諸国名所図会』『大和本草』『太平記』を書き写したほどの筆写魔でもありました。
 
 海外に渡ることが珍しい時代にアメリカやイギリスに渡り、英語やフランス語をはじめ、行く先々のことばを駆使して、様々なことを独学で学び、世界各地で発見、採集した地衣・菌類や、科学史・民俗学・人類学に関する英文論考を、『ネイチャー』と『ノーツ・アンド・クエリーズ(英語版)』に次々と寄稿しています。自然保護運動における先達として、生態学(ecology)を早くから日本に導入したことでも有名です。
 限られた人生の時間の中で、どうしてこんなにたくさんのことができたのでしょう。その疑問に答えるかのように、生物学者としての熊楠、民俗学者としての熊楠、自然保護活動家としての熊楠、また、家庭人としての熊楠の姿を臨場感あふれる語り口で、浮き彫りにしています。エネルギッシュで、時にエキセントリックな南方熊楠の生きざまを通して、「学ぶ」ことの意味や「自分の才能を生き抜く」ことの大切について考えさせられる伝記です。

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