016 ケイト・ディカミロ

2009年3月12日 (木)

ケイト・ディカミロ『愛をみつけたうさぎ エドワード・デュレインの奇跡の物語』

愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅 Book 愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅

著者:バグラム イバトーリーン,ケイト ディカミロ
販売元:ポプラ社
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 心は砕け、さらに砕け
 砕けちりながら生きのびる
 闇を、さらに深き闇を
 通り抜けねばならない
 ふりかえることなく

 本書の見開きに記されたスタンレー・クーニッツの「試金木」という詩だ。物語の副題である「エドワード・テュレインの奇跡の旅」を象徴するかのような詩である。

 主人公は、エドワード・デュレインという名の陶器のうさぎ。フランスの人形師の手による特注のうさぎで手や足、耳が、自由に動かせる仕組みになっていた。絹のスーツや小さな金の懐中時計も持っている。
人形の持ち主はアビリーンという名の女の子。七歳の誕生日に祖母からプレゼントされた人形だった。アビリーンもその家族も皆、エドワードを愛して、家族の一員のように大切にしていたが、エドワードは、窓ガラスに映る自分の姿に陶酔するばかりのプライドの高いうさぎだった。

 物語の冒頭で、祖母がアビリーンに「ペレグリーナと魔女の話」―愛されているのにだれも愛さない姫がイボイノシシに変えられる話―を語った後、「考えてごらんなさい。愛がないのに、どうやって“いつまでも幸せに”くらせますか?」という祖母の言葉が見開きの詩とともに物語の伏線となっている。

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ケイト・ディカミロ『きいてほしいの、あたしのこと -ウィン・ディキシーのいた夏』

 この物語の主人公は、アメリカ南部フロリダ州の小さな町ナオミに引っ越してきた10歳の少女インディア・オパール・ブローニ。物語の中では、オパールと呼ばれている。父親は、この地の教会ナオミ・オープンアームズ・バプティスト教会の牧師さん。母親は、何年も前に家出をしてしまった。父親は、教会のことばかり考えているので、オパールは心の中で<牧師さん>と呼んでいる。
 そこに、物語の副題となっているウィン・ディキシーの登場だ。ウィン・ディキシーは、オパールがナオミに引っ越して来たばかりの頃、スーパーで偶然出会った一匹の野良犬。しっぽをゆっさゆっさと揺らし、スーパーの棚の野菜やくだものをころがしていた。体は大きいけれど、ひどくやせていて、あばら骨が浮き出ている。体中、あっちこっちはげちょろけ。その犬が、オパールを見て、歯が全部見えるくらい、口をにやーっと開けて、笑った。そのおかしな犬に一目ぼれしたオパールは、スーパーの何ちなんでウィン・ディキシーと名づけて飼うことに・・・。

 ウィン・ディキシーは、笑うことと、人の話に耳を傾けることができる犬だった。そして、友達作りの名人(犬)。

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