017 三田誠広

2009年3月18日 (水)

三田誠広著『星の王子さまの恋愛論』(集英社文庫)  かんじんなことは目に見えない サン・テグジュペリの恋愛論

星の王子さまの恋愛論 (集英社文庫) Book 星の王子さまの恋愛論 (集英社文庫)

著者:三田 誠広
販売元:集英社
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 『星の王子さま』の物語の中には珠玉のような言葉がちりばめられている。その一つとして、真っ先に浮かぶのが、王子さまと砂漠で出会ったキツネが別れの時に語る「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」という言葉だろう。

 本書は、「目に見えないかんじんなこと」とは何か、作者であるサン・テグジュペリが込めた恋愛論といえる部分を中心に『星の王子さま』の物語を紐解いていく。著者である三田誠広氏は、まず、サン・テグジュペリの幼年期の生い立ちや成人後の作家として、また、パイロットとしての生き様を辿り、古いお城で過ごした幼年期やパイロットとしての不時着の経験、婚約破棄や結婚生活の実質上の破綻などが物語の原点となっていることを明らかにしている。『星の王子さま』が出版された1943年はサン・テグジュペリの祖国フランスがナチス・ドイツの支配下にあったという時代背景が物語りに影を落としていることも。続いて、その作品である『南方郵便機』や『夜間飛行』を同じ小説家という立場から解釈し、『星の王子さま』の物語の原型をくきやかにあぶり出していく。
 本書の第1章から終章までの8章を通して浮き彫りにされるのは、人間としてのサン・テグジュペリの深い孤独感である。『星の王子さま』の物語の語り手であるパイロットも王子さまもキツネも花もヘビも、皆、孤独な存在だ。また、その出会いは、いずれも唐突で、ヘビを除いて、その別れは切なく哀しい。本書において著者は、第2章の「星の王子さまはどこから来たか」と第4章の「花はどこから来たか」という自らの問いに端を発して、サン・テグジュペリが物語りに込めた目に見えない恋愛の「かんじんなこと」(本質)を説き明かしている。

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2009年3月 8日 (日)

息子の卒業式を無事に終えました 「世界に一つだけの花」&『パパは塾長さん』

 3月2日(月)、息子の高校の卒業式を無事に終えました。高3になって体調を崩しがちでしたが、何とか持ち直し、無事に卒業することができてほっとしました。息子が小学校を卒業した頃、SMAPの「世界に一つだけの花」が流行っていました。息子の担任の先生が卒業パーティで歌ってくださったことを昨日のことのように思い出していましたら、息子達の卒業を祝う会でも、息子達が歌ってくれました。毎年恒例の音楽祭(合唱コンクール)で大活躍した学年でしたから、祝う会の会場内をとてもすてきな歌声が響きわたりました。

 ♪ NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one ♪という歌詞が好きです。偶然ですが、息子達の中学時代担任だった先生が金子みすずの『わたしと小鳥とすずと』を読み上げられて、「すずと、小鳥と、それからわたし みんなちがって、みんないい。」という言葉を送る言葉として下さいました。コネタマ参加中: 「卒業」と聞いて思い浮かぶ曲は?

 ♪ NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one ♪という歌詞と「すずと、小鳥と、それからわたし みんなちがって、みんないい。」という詞と息子達の「世界に一つだけの花」の歌声が響き合って、心に残る卒業式となりました。(感謝!)

 中学入試の頃、夫婦で読んだ『パパは塾長さん』(三田誠広著)をなつかしく再読しました。

Photo正門前のお地蔵さんに「6年間、息子を守ってくれてありがとう」と手を合わせて祈りました。中学校説明会の時も、中学校入試の日も、入学後は保護者会、体育祭、文化祭と学校に立ち寄るたびに、手を合わせて祈ったお地蔵さんです。

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