『障害の重い子とともにことばを育む』(学苑社)が、下記の通り、オンライン書店ビーケーワンの書評ポータル(2009年8月21日)にて、ご紹介いただきました。
この機会に多くの皆様に障害の重いこどもたちがどのようにことばを獲得していくのか、また、そのために実践を通して研究を重ねている先生方の存在を知っていただきたいとの願いを込めて、お知らせ致します。
-----以下、オンライン書店書評ポータル-----
私たち日本人は
手先が器用で、実用的な工夫が得意だと言われています。反面、物事の原理をじっくりと考える力が弱いとされています。その当否はわかりませんが、書店員として、日本人の手になる骨太の文明批評のような本は意外と少ないなあ(特に最近は)という感想は持っています。今週“くまくま”さんから書評をいただいたジャック・アタリ『21世紀の歴史』には、「利益を求めずに働ける人たちが国際機関を組織し、全ての人類が必要財を手にできる、超民主主義」のアイディアが展開されているそうです。こうした巨大な見通しをきちんと展開できる人がいるというのが、欧州の強みでしょう。ところで“くまくま”さんは、この本を読んで何と東洋の叡智の書である『易経』を思いつかれたそうです。「易は、坤から乾まで、爻という横棒が順次、陰陽変化しながら状態を遷移していき、六十四卦を生み出す、というのがボクの理解だ。だから、ある状態から移れる状態は限られており、いきなり変な状態に飛んだりはしない。そして、これを社会と結びつけることにより将来を占う」。いやあ、驚きました。東洋人にしか浮かばない発想ですよね。ジャック・アタリ氏がこの書評を読んだらすごく面白がるのではないでしょうか。日本の読書人もやるものです(偉そうですみません)。皆さんも、臆せず、自由に、大胆に、独自な発想を書評の中で展開していただければと思います。
■当店の“書評の鉄人”の新刊
“浦辺 登”さん『太宰府天満宮の定遠館』
“まざあぐうす”さん『障害の重い子とともにことばを育む』
<2009.8.21 オンライン書店ビーケーワン販売部 辻和人>
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以下、まざあぐうすの『障害の重い子とともにことばを育む』の書評です。
心身に重い障害を抱えて生まれてきた子ども達は、様々な痛みや不快感に耐え、自らの生命維持のために多くのエネルギーを費やさなくてはならず、言葉を発することや書くことに多大な困難を生じます。また、ことばを発することや書くことができても、ことばをコミュニケーションの手段として用いることができないことが多いのです。
本書は、「障害児のためのことばあそび」の実践を通して、どんなに障害が重い子でも、大人のかかわり方次第で自分の中のことばに気付いていくことができるという確信を得た小川原芳江氏や佐藤真理子氏を中心とする「あ」の会のメンバー(養護学校・小学校教師、保育士、看護師、施設職員、保護者)が、「子どもの心に添う」「子どもの表現力を育てる」というテーマで、発語が困難な状態の子どもたちのことばを生み出すための研究を重ねていた時期の実践記録です。
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