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2005年1月

2005年1月24日 (月)

『じゅうにしのおはなし』 十二支の由来を幼い子ども達にも分かりやすく語り、動物達の表情をくっきりとユーモアたっぷりに描いた絵本です。お子さんと十二支の由来を楽しんでみてはいかがでしょうか。

じゅうにしのおはなし Book じゅうにしのおはなし

著者:ゆきの ゆみこ
販売元:ひさかたチャイルド
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 干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
 私は、年末から新年にかけて、十二支に関わる絵本を読み比べてみて、それぞれの絵本にそれぞれの特徴があり、楽しみがあることを感じています。

 ゆきのゆみこさんの文とくすはら順子さんの絵による『じゅうにしのおはなし』は、「まいとし おなじ こよみでは つまらないのう。 そうじゃ、じゅうにの としに、なまえを つけては どうだろう。 うむ、これは めいあんじゃ。」と神様みずから十二支を思いついたことから物語が始まります。そして、龍を呼んで、国中の動物達に集まるように知らせに行かせます。十二支が神様自らの名案であること、龍が神様の御使いを果たしていることがこの絵本の特徴と言えるかもしれません。

 その後の集まった動物達に神様が呼びかける言葉はどの絵本も同じです。
 ねずみが「かみさま、ぼくのように ちいさくても おうさまに なれるんですか?」と聞く場面に初めて出会いました。神様は、「もちろんじゃとも」と答えます。鹿やパンダ、ブタ、たぬき…十二支に入っていない動物達がたくさん集まっています。パンダを描いたくすはら順子さんのユーモアを感じました。

 ねことねずみの会話はおなじみです。にわとりは、夜明けを告げるのを止めました。そして、おおみそかの夜、牛が歩き始めます。ちゃっかり背中に飛び乗った動物はご存知のとおりです。御殿に着くと、牛の背中を飛び降りて、先に門に入るのも…。
 その後の十二支の順序がなぜそのように決まったのかは、この絵本を開いてみてください。動物達が走る姿が真剣そのものに描かれていて、絵本から飛び出してきそうな勢いです。
 一番に御殿に到着したねずみは、王様から小さな冠をかぶせてもらっています。ところが、絵本の最後には、ねずみは、恐ろしい顔をしたねこから追いかけられています。ねずみは怯えて必死に逃げています。絵本から飛び出しそう。あなたは、ねずみを助けてあげますか? それとも、ねこの味方をしますか?
 十二支の由来を幼い子ども達にも分かりやすく語り、動物達の表情をくっきりとユーモアたっぷりに描いた絵本です。お子さんと十二支の由来を楽しんでみてはいかがでしょうか。

(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/01/24 bk1に投稿したレビューです。)

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2005年1月 9日 (日)

『十二支のはじまり 日本の民話えほん』 子ども達が楽しみながら十二支を覚えることができそうな絵本です。

十二支のはじまり (日本の民話えほん) Book 十二支のはじまり (日本の民話えほん)

著者:岩崎 京子
販売元:教育画劇
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 “しょうがつの あさ、ごてんに くるように。きた ものから 十二ばんめまで じゅんばんに 一ねんずつ、 その としの たいしょうに する”という神様のおふれから物語が始まります。
 動物たちが、「自分こそは一番乗りだ」という表情で神様のお触れを聞いている姿が描かれています。続くページは、おなじみの猫がネズミにだまされるくだりです。
 牛は前の晩から歩き始めます。一生懸命に歩く牛の姿、その背中の上でぐっすり眠っているネズミの姿、そして、御殿の扉が開かれると、ひょいと飛び降りて、ちゃっかり牛の先をゆくネズミ。牛はやれやれという表情をしています。
 それに続く、脚の速さが自慢の動物たち、雲に乗って飛んでゆくたつと草むらを這ってゆくへび、馬に続く動物たち、十二支に入っていない動物たちもたくさん走っています。サルと犬が喧嘩をしながら歩いています。その仲介役の鶏…御殿の前を行き過ぎてしまった猪。

 干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
 岩崎京子さんの語る『十二支の始まり』は、子ども達が楽しみながら十二支の順番を覚えることができそうな絵本です。年の初めにお子さんと一緒に十二支の由来のお話を読み比べてみるのも面白いのではないでしょうか。

(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/01/09 bk1に投稿したレビューです。)

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2005年1月 7日 (金)

『十二支のはじまり 行事むかしむかし』

十二支のはじまり (行事むかしむかし (十二支のはなし)) Book 十二支のはじまり (行事むかしむかし (十二支のはなし))

著者:谷 真介
販売元:佼成出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話として伝えられているようです。『十二支のはじまり』では、岡山県に伝わるお話が紹介されています。

 「元日の あさ、しん年の あいさつに ごてんに きなさい。一ばん はやく きた ものから 十二ばんめまで、 じゅんばんに 一年かんずつ、 どうぶつたちの 王さまに して やろう」という神様の呼びかけから物語が始まります。その上に、お正月のご馳走をしてくださると神様は言っています。
 版画で描かれた動物たちは、リスも鹿もクマも猫も…もちろん十二支に入っている動物たちもみんな大きな眼を開けて、神様のお話を熱心に聴いています。神様は立派なお姿…さて、どの動物がどのようにして、神様の御殿にたどり着くのでしょう。

 ネズミにだまされる猫の寝ぼけ顔が何とも滑稽です。一生懸命に歩く牛の姿、その上に寝そべっているネズミの姿、あらあら、御殿の扉が開かれると、ひょいと飛び降りて、牛の先をゆくネズミ。「なあに。一ばんに ならなくても、十二ばんまでに はいれば いいんだ。…」と牛は大らかです。それに続く、トラ、ウサギ、蛇、龍、馬…みんな生き生きと描かれています。

 いつもは、夜明けを告げるニワトリが一番でなかったのはなぜでしょう。言い訳を聞いて、門番が笑っているように見えます。もうもうと土煙を上げて走ってくる最後の二匹…一体、どうなるのでしょう。それは、この絵本を開いてからのお楽しみです。

 生き生きと描かれた動物たちの絵を見ているだけでも、楽しく、元気が出てくる絵本です。あとがきに、十干と十二支の由来が説明されていますが、子供たちにとっては、各地に伝えられたお話の方がきっと楽しいでしょう。年の初めにお子さんと一緒に十二支の由来のお話を読んでみてはいかがでしょうか。

(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/01/07 bk1に投稿したレビューです。)

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思い出の絵本 No.12 、『あのね、サンタの国ではね…』サンタクロースの一年がほんわかとあたたかく描かれている絵本〜サンタクロースを信じている子ども達に一年を通して読んであげたい絵本

 私の息子がサンタクロースがいると本当に信じていた頃、くり返し読んだ絵本があります。『サンタクロースと小人たち』と『ぐりとぐらのおきゃくさま』です。今では、ぼろぼろになってしまい、本のところどころにセロテープが貼られています。そして、幼い息子の書き込んだひらがなもあり、手垢も残っています。
 その息子から、お正月に「サンタさんって、今頃、何しているのかな?」と聞かれたことがありました。『サンタクロースと小人たち』の絵本を取り出して、ページをめくり、サンタクロースたちが食事をしている絵を指差して、「ここで、きっと新年のおごちそうを食べて、クリスマスの疲れをとっているところよ。新年のごあいさつもしていると思うわよ」とお話をしました。「じゃあ、サンタさんも「鬼は外」ってやるの?」と次々に、疑問が続きました。当時、『あのね、サンタの国ではね…』に出会っていたら、きっとくり返しくり返し読んでいただろうなあ…と思います。

あのね、サンタの国ではね・・・ Book あのね、サンタの国ではね・・・

著者:嘉納 純子,松本 智年,一色 恭子
販売元:偕成社
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 1月のサンタクロースは、新年のご挨拶を交わし、どうやら新年会らしいパーティを開いています。2月は、そして、3月は…という具合に続きます。トナカイの学校の入学式あり、サンタクロースの体力測定あり、日焼けしたサンタクロース…サンタクロースたちの一年間が描かれ、語られている絵本です。

 私は、サンタクロースの存在を信じることができる子ども時代のわずかな時間を大切にしてあげたいと思いながら、二人の子ども達を育てて来ました。14歳になった息子は、今、ゲームに夢中です。サンタクロースの乗るトナカイの鈴の音は、もう聞こえていないでしょう。でも、きっと心の奥底にサンタクロースの絵本の読み聞かせをした母親の私の声が残っていると信じます。
 息子が出会えなかった素敵な絵本だけに、ぜひ一人でも多くのサンタクロースを信じている子ども達に出会って欲しいと思います。北の果てに住んでいるサンタクロースがほんわかとあたたかく描かれていて、サンタクロースが身近に感じられます。一年間を通して、読む絵本の一冊としてもよいのではないでしょうか。

(以上、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/01/07、bk1に投稿した書評です。)

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