『じゅうにしのおはなし』 十二支の由来を幼い子ども達にも分かりやすく語り、動物達の表情をくっきりとユーモアたっぷりに描いた絵本です。お子さんと十二支の由来を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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じゅうにしのおはなし 著者:ゆきの ゆみこ |
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
私は、年末から新年にかけて、十二支に関わる絵本を読み比べてみて、それぞれの絵本にそれぞれの特徴があり、楽しみがあることを感じています。
ゆきのゆみこさんの文とくすはら順子さんの絵による『じゅうにしのおはなし』は、「まいとし おなじ こよみでは つまらないのう。 そうじゃ、じゅうにの としに、なまえを つけては どうだろう。 うむ、これは めいあんじゃ。」と神様みずから十二支を思いついたことから物語が始まります。そして、龍を呼んで、国中の動物達に集まるように知らせに行かせます。十二支が神様自らの名案であること、龍が神様の御使いを果たしていることがこの絵本の特徴と言えるかもしれません。
その後の集まった動物達に神様が呼びかける言葉はどの絵本も同じです。
ねずみが「かみさま、ぼくのように ちいさくても おうさまに なれるんですか?」と聞く場面に初めて出会いました。神様は、「もちろんじゃとも」と答えます。鹿やパンダ、ブタ、たぬき…十二支に入っていない動物達がたくさん集まっています。パンダを描いたくすはら順子さんのユーモアを感じました。
ねことねずみの会話はおなじみです。にわとりは、夜明けを告げるのを止めました。そして、おおみそかの夜、牛が歩き始めます。ちゃっかり背中に飛び乗った動物はご存知のとおりです。御殿に着くと、牛の背中を飛び降りて、先に門に入るのも…。
その後の十二支の順序がなぜそのように決まったのかは、この絵本を開いてみてください。動物達が走る姿が真剣そのものに描かれていて、絵本から飛び出してきそうな勢いです。
一番に御殿に到着したねずみは、王様から小さな冠をかぶせてもらっています。ところが、絵本の最後には、ねずみは、恐ろしい顔をしたねこから追いかけられています。ねずみは怯えて必死に逃げています。絵本から飛び出しそう。あなたは、ねずみを助けてあげますか? それとも、ねこの味方をしますか?
十二支の由来を幼い子ども達にも分かりやすく語り、動物達の表情をくっきりとユーモアたっぷりに描いた絵本です。お子さんと十二支の由来を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/01/24 bk1に投稿したレビューです。)
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