『十二支のはじまり 行事むかしむかし』
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十二支のはじまり (行事むかしむかし (十二支のはなし)) 著者:谷 真介 |
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話として伝えられているようです。『十二支のはじまり』では、岡山県に伝わるお話が紹介されています。
「元日の あさ、しん年の あいさつに ごてんに きなさい。一ばん はやく きた ものから 十二ばんめまで、 じゅんばんに 一年かんずつ、 どうぶつたちの 王さまに して やろう」という神様の呼びかけから物語が始まります。その上に、お正月のご馳走をしてくださると神様は言っています。
版画で描かれた動物たちは、リスも鹿もクマも猫も…もちろん十二支に入っている動物たちもみんな大きな眼を開けて、神様のお話を熱心に聴いています。神様は立派なお姿…さて、どの動物がどのようにして、神様の御殿にたどり着くのでしょう。
ネズミにだまされる猫の寝ぼけ顔が何とも滑稽です。一生懸命に歩く牛の姿、その上に寝そべっているネズミの姿、あらあら、御殿の扉が開かれると、ひょいと飛び降りて、牛の先をゆくネズミ。「なあに。一ばんに ならなくても、十二ばんまでに はいれば いいんだ。…」と牛は大らかです。それに続く、トラ、ウサギ、蛇、龍、馬…みんな生き生きと描かれています。
いつもは、夜明けを告げるニワトリが一番でなかったのはなぜでしょう。言い訳を聞いて、門番が笑っているように見えます。もうもうと土煙を上げて走ってくる最後の二匹…一体、どうなるのでしょう。それは、この絵本を開いてからのお楽しみです。
生き生きと描かれた動物たちの絵を見ているだけでも、楽しく、元気が出てくる絵本です。あとがきに、十干と十二支の由来が説明されていますが、子供たちにとっては、各地に伝えられたお話の方がきっと楽しいでしょう。年の初めにお子さんと一緒に十二支の由来のお話を読んでみてはいかがでしょうか。
(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/01/07 bk1に投稿したレビューです。)
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