『十二支のはじまり てのひらむかしばなし』 十二支に入らなかったねこも含めて十三匹の動物の性質を語りながら、神様のものに向かう様子を語った愉快な絵本です。
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十二支のはじまり (てのひらむかしばなし) 著者:長谷川 摂子 |
干支は、1300年ほど前に中国から伝えられた暦の表し方ですが、現在の日本では、十二支だけが人々の生活の暦として残り、十干を知っている人は少なくなりました。その十二支の由来も全国的にいろいろなお話が伝えられているようです。
長谷川摂子さんの語りと山口マオさんの版画による『十二支のはじまり』は、てのひらむかしばなしのシリーズの一冊。『かたれ やまんばー藤田浩子の語り』第一集所収の「十二支のはなし」をもとに再話されたことがあとがきに記されています。
始まりがユニークです。「むかしむかしの そのまた むかし、かみさまが どうぶつを こしらえたばかりのころ。」と見開きの題名の下に神様が天地万物創造をなさっている場面から始まっています。
「1月1日の朝、神様の家の前にきたものに1年ずつ年をやる」と聞いて、動物たちは大はりきりで出発します。牛が一番に歩き始めます。ねずみはどこに隠れているのでしょうか。この本では、牛の背中には乗っかっていません。それは、この絵本を読んでからのお楽しみです。
俊足が自慢のとらは、うしのけつっぺたを見て「うおーっ、くやしいーっ」と叫び、それ以来、「とらは、うしのけつっぺたをみると、かぶりつくように、なったそうな。」とユーモアたっぷりの語りとページ一面のうしのお尻ととらの顔に思わず笑ってしまいました。
そして、俊足のうさぎ。「へびと たつは、どうじに もんのまえに ついた」との語りへと続きます。なぜ、たつが先になったのでしょうか。これも、この絵本を読んでからのお楽しみです。
俊足のうまは食いしん坊で、道々草を食べながら歩いています。ひつじ
は、引っ込み思案で、気が弱いから、さんざん迷いながら神様のお屋敷へ向かっています。
さる、とり、いぬ、いのしし…そして、ねこ。十二支に入らなかったねこも含めて十三匹の動物の性質を語りながら、神様のもとに向かう様子を語った絵本です。十二支を語る絵本の中でも、ユニークな存在ではないでしょうか。十二支の由来と動物たちの性質を同時に楽しむことができるてのひらサイズの絵本としてお勧めの一冊です。
(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが、2005/02/03 bk1に投稿したレビューです。)
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