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2005年12月13日 (火)

『あすはたのしいクリスマス』~「かあさん」へのクリスマスプレゼント

 あすはたのしいクリスマス あすはたのしいクリスマス
販売元:セブンアンドワイ
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 『あすはたのしいクリスマス』は、神学者、そして、文筆家であるクレメント・クラーク・ムーアが、自分の子どもたちのために、オランダの伝承とそのお祭りを元として作ったA Visit from St. Nicholasという詩にトミー・デ・パオラがイラストを添えた絵本です。
 原詩は、今から180年ほど前のアメリカで発表されて以来、「八頭立てのトナカイに乗ってやってくる小人のサンタクロース」というイメージが定着したと言ってもいいほど有名な詩です。
 クリスマスを楽しみに子ども達が寝静まった頃、小さな八頭のトナカイとやってくる小人のサンタクロース、八頭のトナカイの名前が「ダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクスン・コメット・キューピッド・ドンダ−・ブリッツェン」と詩の中で呼ばれているところなど、原作者であるムーアの細やかな心遣いを感じます。そして、サンタクロースに出会うのが子ども達ではなく、大人である「とうさん」であることも、子どもの頃、サンタクロースを信じていた「とうさん」に再び夢を見せてくれるムーアの思いやりでしょうか。愛と喜びと神秘に満ちた詩です。

 同じ詩による絵本は、日本でも数冊翻訳され出版されていますが、お勧めはターシャ・テューダーの『クリスマスのまえのばん』とトミー・デ・パオラによるこの絵本ではないでしょうか。
 ターシャ・テューダーの『クリスマスのまえのばん』の魅力は、中村妙子さんの五七調のリズミカルな日本語訳と私たち人間だけでなく、ネズミやウサギ、犬や猫、小鳥など小動物にも訪れるクリスマスの喜びが余すところ無く描かれている点にあると思いますが、トミー・デ・パオラの絵本の魅力は、「とうさん」だけでなく、「かあさん」も目覚めて、二人でサンタクロースの様子を見ている点にあるのではないでしょうか。
 この絵本を作るにあたり作者であるトミー・デ・パオラは19世紀中ごろのニューイングランドの町を想定し、水彩絵具とインクでできるだけ原詩に忠実に描くように努めたそうですが、「かあさん」を絵の中に登場させている点だけは作者独自のアイデアです。
 ナイト・キャップをかぶってパジャマにガウンを羽織った二人は、最初、ドアの隙間から恐る恐るサンタクロースの様子を見ていますが、サンタが「まるまるふとって まったく ゆかいなようせいだ」と分かってからは、サンタが二人にウィンクすると安心して笑顔を浮かべています。
「とうさん」だけでなく、「かあさん」にもサンタを見せてくれたのは、トミー・デ・パオラからの多くの「かあさん」達へのクリスマス・プレゼントでしょうか。サンタを見つめる二人の姿が微笑ましく感じられました。

 サンタの顔も、原詩に忠実に描かれ、きらきらとほしみたいな目、バラの花のようなほっぺ、ポツンとさくらんぼのような鼻、おどけてちっちゃな口元、まあるくちっちゃなたいこばら・・・絵を見ているだけで、とても愉快な気持ちになります。
 また、各ページの絵をふちどっている刺し子の模様の飾り枠もすてきです。 クリスマス・イブにいかがでしょうか。(以上、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/12/13、bk1に投稿した書評です。)

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