思い出の絵本 No.2 『ぐりとぐら』
知的な障害を抱えた娘の笑顔が見たくて始めた読み聞かせでしたが、5歳年下の弟が生まれてからも育児が大変な中、毎晩欠かさず読み聞かせを続けました。朝昼晩と時間帯に関係なく、絵本を持って来て、膝の上にすわったら、いつでも読んであげました。
もし、娘が知的な障害を抱えていなかったら、ここまで読んであげることができただろうか・・・とふと思います。
娘が二冊目に気に入った絵本は、『ぐりとぐら』でした。
以下は、福音館書店のホームページ、「みんなの広場」-ぐりとぐらの思い出に投稿した文章です。
歌うように読んだ絵本 『ぐりとぐら』
『ぐりとぐら』は、知的な障がいを抱える娘が喜んだ2冊目の絵本です。娘は、点頭てんかんという癲癇の中でも最も重い病を患って生まれてきました。生後10ヶ月の時から抗てんかん薬を服用していますので、乳幼児期は眠っている時間が長く、起きているときもぼーっとしていました。 その娘が2歳の時に初めて反応したのが『あかんべノンタン』でした。それ以来、娘の喜ぶ表情を見たいためにすがるように始めた読み聞かせです。
1年ほど経て、3歳になった娘に『ぐりとぐら』をよんであげました。すると、本当に嬉しそうに絵本を眺めていました。もう私もうれしくて、うれしくて、「ぐりとぐら」のシリーズを本が破れるほど読んであげました。
どの本も言葉がリズミカルですので、歌うように読んであげました。 娘を膝に抱いて読んだ『ぐりとぐら』、幼かった頃の娘の体のぬくもりや絵本のぐりやぐらを触っている小さなてのひら・・・今でも、時々思い出して、ほんわかした気分に浸っています。
その娘も23歳、養護学校の高等部を卒業して、福祉工房に勤めています。時々思い出したように、ぼろぼろになった『ぐりとぐら』を本棚から出して眺め、母親の私が口ずさんだメロディーをハミングしています。
娘の笑顔を見たいがために始めた読み聞かせでしたが、自分の方が絵本や童話の世界にすっかりはまってしまいました。 音痴な私が歌うように読んだ思い出の一冊です。
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