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2009年1月29日 (木)

Don't be afraid to speak about spirits! 『地球交響曲第三番 魂の旅』

 地球交響曲は、ジェームズ・ラブロック博士のガイア理論を原点として、世界中のスピリチュアルな体験をもつ人々のメッセージをオムニバス風につづった映画です。(引用:龍村仁著「地球をつつむ風のように」サンマーク出版)その「第三番」の撮影開始を十日後に控えていた1996年8月8日、重要な出演者となるはずであった星野道夫氏がロシアのカムチャッカで熊に襲われて、この世を去りました。
 三年前の「第二番」の撮影中には、出演を承諾してくれていたF1レーサーのアイルトン・セナが不慮の事故でこの世を去っています。二度目の映画撮影の危機に見舞われ、著者が監督として、一人の人間として、どれほどのショックを受けたのかは計り知れません。
 「人生とは、なにかを計画している時に起きてしまう別の出来事のことをいう」と言うアラスカ初の女性ブッシュパイロットで、星野道夫氏の友人であるシリア・ハンターの言葉が「第三番」を象徴しているように思えます。
 その危機を乗り越えて、著者は「見えない星野道夫を撮る」「聞こえない星野道夫の声を聞く」というドキュメンタリー手法では出来ないことへ踏み出す決意をしました。「私たちの中に眠っている一万年前の記憶を取り戻し二十一世紀に通じる神話を築こう」という星野道夫氏との約束を果たすために。
 「第三番」製作にまつわるエピソードにとどまらず、一つ一つの出来事を現実的な事象から魂のレベルまで深く掘り下げて語る渾身のエッセイ集です。星野道夫氏の死を著者がスピリチュアルな体験として乗り越えてゆく日々が臨場感あふれる言葉で綴られていて、一語一語噛み締めるように読みました。

 神話の語り部ボブを始め、二十世紀最大の宇宙物理学者のひとりであるフリーマン・ダイソンやケチカンの熊の一族のウイリー・ジャクソンなど星野道夫氏を巡る人々と出会いながら、天河大弁財天社、カナダ・ハンソン島、アラスカ・フェアバンクス、ハワイ…そして三内丸山遺跡へと旅を続けます。それは、著者の「自分自身の内に実在する“魂”、あるいは五千年〜一万年前の“記憶”」を遡る旅でもありました。
 著者は、二十一世紀を「私たちひとりひとりの「魂の進化」が極めて現実的に求められている時代だ。」と述べています。“Don’t be afraid to speak about spirits!”というボブ・サムの言葉や「至福の喜びは、深い悲しみと共にある」というビル・フラーの言葉など、星野道夫氏の著作からの引用も含めて、星野道夫氏を巡り、著者と出会った人々の洞察に満ちた言葉が心に沁みます。一人一人が人生をかけて語った言葉だからこそ、心に深く訴えかけるのではないかと思いました。

 「自分のいのちは、自分のものであると同時に、種を超え、時を超えて連綿と続く大きないのちの繋がりの中に生かされている」という当たり前のことを忘れて生きている自分に気づかされました。目に見えない魂の世界がリアルに感じられ、先行き不安な世の中を生きてゆく勇気が与えられるエッセイ集です。

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