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2009年1月28日 (水)

ADHDという障害をとても分かりやすく表現した絵本 『オチツケオチツケこうたオチツケ いのちのえほん 』

 絵本の主人公のこうた君は、ADHDという病気です。日本語では注意欠陥多動性障害と呼ばれています。一般的に知的機能の発達には遅れがないと言われていますが、周囲にいる人から理解が得にくい障害のひとつだと思います。
 私の娘は、ADHDではありませんが、点頭てんかんという重いてんかんによる知的機能の障害を伴っていますので、娘に何か問題とされる行動が生じた時、常に、障害による問題行動なのか、単なるわがままによる問題行動なのかを問いながら、娘と共に生きてきました。
 「障害」か「わがまま」かの判断は、常に慎重に行わなくてはなりません。専門の医師やカウンセラーによるアドバイスを必要とする場合や人間としての直感による場合など様々ですが、周囲の人から理解を得ることの難しさを痛感しています。

 こうた君は、さとる君もりえちゃんも大好き。落ち着かなくてはならないことも、順番を守らなくてはならないこともちゃんとわかっているのに、そうできないのがこうた君です。
 「わがまま」に見えてしまうこうた君の行動が具体的に描かれ、こうた君の頭の中、こうた君の心の動きが目に見えるように絵本に描かれています。
 学校の先生やこうた君のお母さんの困り果てた様子も…。
 こうた君のADHDという障害を病院の先生は、車にたとえて、こうた君にもお母さんにもわかりやすく説明しています。病院の先生の「おかあさん ほんとうに よく がんばってきましたね」と言う言葉に、思わずほろりと涙が出てしまいました。こうた君のお母さんのご苦労が身に沁みて感じられるからです。

 障害とは、決して特別なものではありません。人間が動物である限り避けて通れないものです。理解と必要な配慮さえ得られれば、共によりよく生きてゆくことができることを信じます。こうた君のようなお子さんへの理解が少しでも広がってゆくことを願っています。
 『オチツケオチツケこうたオチツケ こうたはADHD』は、ADHDという障害をとても分かりやすく表現した絵本だと思います。一人でも多くの人に読んで欲しい絵本です。

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