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2009年1月30日 (金)

どんどんどんどん増え続けるものへの恐れとそれを留める不思議な力  『にげだしたひげ』

 むかし、むかし、スリランカという国に、小さな村がありました。その村のじいさんたちはひげを長くのばしていました。ひげが長くなるとまな板で魚をきるように包丁でひげを切ってもらっていましたが、ハンプじいさんだけは、ねずみにひげをかじってもらっていました。
じいさんがねずみにごはんをあげると、ねずみはお礼にじいさんのひげをがじってあげるのでした。仲良く暮らしていたじいさんとねずみでしたが、ある日のこと、ねずみの歯が丸くなってしまい、かじってもかじってもひげは短くなりません。
 ひげはたちまち部屋いっぱいにのびて、外へ飛び出してゆきました。パンプじいさんときたら、ひげにうずもれて、その中でぬくぬくと眠っています。ところがひげは、そこらじゅうをぐるぐるぐるぐる巻いて、どんどんのびてゆきました。ぐんぐん ぐんぐん ぐるぐる ぐるぐる。村中が大変なことに・・・。ひげに追いかけられた少女ラトゥマニカは、家にかけこむとひげの先を引っ張って、ある場所に突っ込みました。さて、ラトゥマニカはひげの先をどうしたのでしょう。

 「おいしいおかゆ」というグリムの昔話を思い出しました。小さなお鍋が、ぐつぐつぐつぐつおかゆを煮続けて、町中がおかゆでいっぱいになるお話です。
どんどんどんどん増え続けるものへの恐れとそれを留める不思議な力。『おじいさんのひげ』も『おいしいおかゆ』も、増え続けるものを止めたのは女の子でした。
 ヨーロッパのドイツで生まれたグリムのお話とアジアのスリランカで生まれたお話に共通する不思議な世界。人間の無意識の混沌を思いました。そして、その混沌から人間を放つものがいかに単純なものであるかを思いました。単に愉快なだけでなく、奥深い物語、シビル・ウェッタシンハのイラストが生き生きとのびてゆくひげを描いて、豪快です。

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