韓国と日本の草の根的な文化交流を感じる絵本 『うしとトッケビ』
ある雪の日に、まきうりのトルセが牛をつれて帰り道を急いでいた時、おばけのトッケビの子に出会いました。大事なしっぽを犬にかまれて、困り果てています。
人間なのか、猿なのか見分けのつかない顔に、ひょろながい手足のトッケビ。黒っぽい毛並みに、にょっきりはえた耳、小さなしっぽまでついていて、猫のようでもあり、犬のようなトッケビ。
絵本の中では、トッケビは、可愛く、滑稽に描かれています。
そのトッケビがトルセに助けを求めます。牛のお腹に入れてくれと…。さて、その後のトッケビは牛のお腹の中でどのようになるのでしょうか。
韓国のロングセラーとなっている絵本『うしとトッケビ』は、有名な作家イ・サンが書いた唯一の童話だそうです。読み終えた後で、どこかで聞いたようなおはなしだなあと思いました。翻訳者のおおたけきよみさんの解説を読み、日本にあるおはなしの翻案作品だということが分かりました。
「この絵本からは、子どもに語られるおはなしが世界各地を漂いながら、その地域その時代に必要とされるかたちに変容していく<物語の生命力>を感じることができます」という解説の言葉が心に残りました。韓国と日本の草の根的な文化交流を絵本の中に感じたからです。
トッケビはどのように牛のお腹から出てくるのでしょう。最後まで愉快で楽しいおはなしです。韓国のおはなしと日本のおはなしを読み比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
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