小型武器について、子ども達に分かりやすく解説した絵本 『小型武器よさらば 戦いにかり出される児童兵士たち』
アフリカでは10歳未満の子どもまで戦争に参加しているって、ほんとうですか?」と著者は国連の専門家に問いかけてみました。
「残念ながらそれが現実です。子どもに銃を持たせて戦わせているのです。いやがる子どもは銃でおどされ、命令にしたがわないと、家族への食糧の配給も来なくなったりするのです。恐怖心を少なくするために麻薬を用いることもあります。親を亡くした子どもたちの施設から、おおぜいの子どもたちが連れ去られることもあるんですよ」との答えが返って来ました。
21世紀の今とは思えないような過酷な現実です。
容易に手に入り、簡単に取り扱うことができる小型武器の存在が多くの子ども達を戦場にかりだし、地域紛争を泥沼化させています。世界中には、地雷まで含めると、全部で5億から6億くらいの小型武器が存在し、毎年50万人もの人が小型武器の犠牲者となっています。犠牲者の多くが非戦闘員である女性や子どもたちです。
もし、自分の子どもが戦場にかりだされたら、どんなに悲しいだろうとの思いで読み進んだ一冊です。銃を持って、他人の命を奪えと命令された子ども達の心に思いを馳せました。そのすさんだ生活を思いました。つらく悲しい現実から目をそむけないためにも世界の現状を知る必要があると思います。
国連の小型武器への取り組み、各地の紛争の状況、小型武器削減と管理の必要性など、子ども達が戦場にかりだされる要因となっている小型武器について写真やイラスト、図表を添えて子ども達にも分かりやすく解説した絵本です。世界の平和を願いつつ、多くのお子さん達に読んで欲しい一冊です。
| 固定リンク
« 梨木香歩さんの語りと木内達郎さんの絵の絶妙なコンビネーションによる蟹塚の由来ー二世代にわたる恨みが昇華されてゆく哀しく美しい物語 『蟹塚縁起』 | トップページ | 韓国の住居と家族を美しく描いた絵本 『マンヒのいえ』 »
「<絵本>」カテゴリの記事
- 山福朱実『ヤマネコ毛布』絵本原画展@ブックスキューブリック箱崎店(2016.07.23)
- 手から手へ展 第一会場&大人の絵本を愉しむ会(2014.02.16)
- 『ゆきひらの話』(安房直子・文/田中清代・絵)(偕成社)(2012.04.05)
- 宇梶静江 古布絵展 @小淵沢 フィリア美術館(2011.05.21)
- ひな祭りにお薦めの絵本(2011.03.03)
「[戦争と平和]」カテゴリの記事
- テレジンの小さな画家たち・詩人たち(2013.11.17)
- 原爆を記憶にとどめるために (2012.08.09)
- (シャロン・ドガー著・野沢佳織・訳)『隠れ家 アンネ・フランクと過ごした少年』(岩崎書店)(2012.03.20)
- 今年もアンネのバラが咲きました!(2009.05.18)
- 原爆を記憶にとどめるために 8月9日長崎原爆の日(2010.08.09)
コメント