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2009年3月

2009年3月26日 (木)

2008年刊行の絵本のガイドブック 絵本の今を知りたいあなたへ、また、絵本を深く広く味わいたいあなたへお薦めの一冊

 

この絵本が好き!〈2009年版〉 Book この絵本が好き!〈2009年版〉

販売元:平凡社
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 本書は、「別冊太陽」の絵本シリーズの中で2003年度版から始まり今年で7年目を迎える毎年恒例の絵本ガイドブック。「2008年の絵本ベスト24(国内絵本11冊/海外翻訳絵本13冊)」の発表と「絵本好き107名のアンケート」の一挙掲載をメインとして、「今に生きる画家 初山滋と茂田井武」や「現代の絵本界を牽引する作家たち 五味太郎/エリック・カール」、「注目の絵本作家の大作品展 大道あや展/丸木スマ展」の特集の他、絵本に関するエッセイや読み物など、2008年に刊行された絵本の情報が満載されている。

 児童書の中でも特に絵本は新刊をリアルタイムで把握することが難しく、まして、その全てを書店で手にとって見ることが不可能なため、本書の「2008年に刊行されたおもな絵本約1200冊」のリストや2008年の絵本ベスト24冊のオールカラーによる紹介記事が大変貴重な存在に思える。また、アンケート「わたしのベスト絵本 2008年刊行国内絵本/海外翻訳絵本」は2008年に刊行された絵本の推薦文として信頼に値する。回答者が「絵本好き107名」とされているが、司書、絵本専門店関係者、教員、保育士、編集者、研究者など絵本に関わる専門家と理解してよいだろう。
 
 国内絵本1位は『くまとやまねこ』、海外翻訳絵本の1位は『てぶくろがいっぱい』。1位の絵本の翻訳者インタビュー記事の中で、『てぶくろがいっぱい』は、原書が刊行された1958年から50年の歳月を経て翻訳され、今の時代に受け入れられていることを知り、海外翻訳絵本は新刊のみならず古い絵本の翻訳にも良書発掘の可能性が秘められていることを感じた。2位以下は、本書を読んでからのお楽しみ。

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2009年3月18日 (水)

三田誠広著『星の王子さまの恋愛論』(集英社文庫)  かんじんなことは目に見えない サン・テグジュペリの恋愛論

星の王子さまの恋愛論 (集英社文庫) Book 星の王子さまの恋愛論 (集英社文庫)

著者:三田 誠広
販売元:集英社
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 『星の王子さま』の物語の中には珠玉のような言葉がちりばめられている。その一つとして、真っ先に浮かぶのが、王子さまと砂漠で出会ったキツネが別れの時に語る「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」という言葉だろう。

 本書は、「目に見えないかんじんなこと」とは何か、作者であるサン・テグジュペリが込めた恋愛論といえる部分を中心に『星の王子さま』の物語を紐解いていく。著者である三田誠広氏は、まず、サン・テグジュペリの幼年期の生い立ちや成人後の作家として、また、パイロットとしての生き様を辿り、古いお城で過ごした幼年期やパイロットとしての不時着の経験、婚約破棄や結婚生活の実質上の破綻などが物語の原点となっていることを明らかにしている。『星の王子さま』が出版された1943年はサン・テグジュペリの祖国フランスがナチス・ドイツの支配下にあったという時代背景が物語りに影を落としていることも。続いて、その作品である『南方郵便機』や『夜間飛行』を同じ小説家という立場から解釈し、『星の王子さま』の物語の原型をくきやかにあぶり出していく。
 本書の第1章から終章までの8章を通して浮き彫りにされるのは、人間としてのサン・テグジュペリの深い孤独感である。『星の王子さま』の物語の語り手であるパイロットも王子さまもキツネも花もヘビも、皆、孤独な存在だ。また、その出会いは、いずれも唐突で、ヘビを除いて、その別れは切なく哀しい。本書において著者は、第2章の「星の王子さまはどこから来たか」と第4章の「花はどこから来たか」という自らの問いに端を発して、サン・テグジュペリが物語りに込めた目に見えない恋愛の「かんじんなこと」(本質)を説き明かしている。

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マリラ世代のあなたにお薦め!西田佳子訳『赤毛のアン』

赤毛のアン Book 赤毛のアン

著者:ルーシー・モード モンゴメリ
販売元:西村書店
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 「bk1書評ポータル」にて、「ほのぼの文庫」管理人まざあぐうすの『赤毛のアン』の書評をご紹介いただきましたので、ご了承を得た上で、記事を転載させていただきます。

 子ども達だけでなく、大人の心にも訴えかける力を持った児童文学作品を愛好している一人として、「時間とは、作中人物も読者も成長させる力を持っているものなのかもしれません。」という辻和人さんのご感想を大変うれしく思いました。

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 3月も半ばにさしかかり、
新学期時期が目前となりました。活気が漲ると同時に、慌しさも増しているこの頃。効率よく仕事をこなすための時間術の本がビジネスマンのお客様の間でよく売れていますが、今週いただいた“mikimaru”さんの『ベーシックは美味しい』の書評には「菓子には材料、手間、技術が不可欠だが、本書ではもうひとつ、『時間』がぜいたくに使われている」と、たっぷり時間をかけることの大切さが強調されていました。あえて効率を二の次にすることで豊かになっていくものがある。これは文学作品の読書についても同じことが言えそうです。“まざあぐうす”さんは『赤毛のアン』の書評の中で、「少女から大人の女性へと成長していくアンの姿がかつては輝かしく思えたが、今は、アンと出会って、本当の自分の気持ちに気づき、建前ではなく本音を大切にするようになっていくマリラの姿に人間の成熟のすばらしさを感じている」と書かれていますが、時間とは、作中人物も読者も成長させる力を持っているものなのかもしれません。テキパキ効率的に仕事をすることも重要、近道を選ばず熟成を待つのも重要。時間の使い方に緩急をつけることが、人生が充実する秘訣ではないでしょうか。

■注目!<書評の鉄人>たちの新刊書
“PNU ”さん『女医裏物語』
“ソネアキラ”さん『Webクリエイターになる!?』
“由良 博英”さん『ゆらこめ 上 ゆらむぼのクラシック音楽CD評論集』
“由良 博英”さん『ゆらこめ 下 ゆらむぼのクラシック音楽CD評論集』

<2009.3.13 オンライン書店ビーケーワン販売部 辻和人>

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2009年3月12日 (木)

ケイト・ディカミロ『愛をみつけたうさぎ エドワード・デュレインの奇跡の物語』

愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅 Book 愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅

著者:バグラム イバトーリーン,ケイト ディカミロ
販売元:ポプラ社
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 心は砕け、さらに砕け
 砕けちりながら生きのびる
 闇を、さらに深き闇を
 通り抜けねばならない
 ふりかえることなく

 本書の見開きに記されたスタンレー・クーニッツの「試金木」という詩だ。物語の副題である「エドワード・テュレインの奇跡の旅」を象徴するかのような詩である。

 主人公は、エドワード・デュレインという名の陶器のうさぎ。フランスの人形師の手による特注のうさぎで手や足、耳が、自由に動かせる仕組みになっていた。絹のスーツや小さな金の懐中時計も持っている。
人形の持ち主はアビリーンという名の女の子。七歳の誕生日に祖母からプレゼントされた人形だった。アビリーンもその家族も皆、エドワードを愛して、家族の一員のように大切にしていたが、エドワードは、窓ガラスに映る自分の姿に陶酔するばかりのプライドの高いうさぎだった。

 物語の冒頭で、祖母がアビリーンに「ペレグリーナと魔女の話」―愛されているのにだれも愛さない姫がイボイノシシに変えられる話―を語った後、「考えてごらんなさい。愛がないのに、どうやって“いつまでも幸せに”くらせますか?」という祖母の言葉が見開きの詩とともに物語の伏線となっている。

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ケイト・ディカミロ『きいてほしいの、あたしのこと -ウィン・ディキシーのいた夏』

 この物語の主人公は、アメリカ南部フロリダ州の小さな町ナオミに引っ越してきた10歳の少女インディア・オパール・ブローニ。物語の中では、オパールと呼ばれている。父親は、この地の教会ナオミ・オープンアームズ・バプティスト教会の牧師さん。母親は、何年も前に家出をしてしまった。父親は、教会のことばかり考えているので、オパールは心の中で<牧師さん>と呼んでいる。
 そこに、物語の副題となっているウィン・ディキシーの登場だ。ウィン・ディキシーは、オパールがナオミに引っ越して来たばかりの頃、スーパーで偶然出会った一匹の野良犬。しっぽをゆっさゆっさと揺らし、スーパーの棚の野菜やくだものをころがしていた。体は大きいけれど、ひどくやせていて、あばら骨が浮き出ている。体中、あっちこっちはげちょろけ。その犬が、オパールを見て、歯が全部見えるくらい、口をにやーっと開けて、笑った。そのおかしな犬に一目ぼれしたオパールは、スーパーの何ちなんでウィン・ディキシーと名づけて飼うことに・・・。

 ウィン・ディキシーは、笑うことと、人の話に耳を傾けることができる犬だった。そして、友達作りの名人(犬)。

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2009年3月 8日 (日)

息子の卒業式を無事に終えました 「世界に一つだけの花」&『パパは塾長さん』

 3月2日(月)、息子の高校の卒業式を無事に終えました。高3になって体調を崩しがちでしたが、何とか持ち直し、無事に卒業することができてほっとしました。息子が小学校を卒業した頃、SMAPの「世界に一つだけの花」が流行っていました。息子の担任の先生が卒業パーティで歌ってくださったことを昨日のことのように思い出していましたら、息子達の卒業を祝う会でも、息子達が歌ってくれました。毎年恒例の音楽祭(合唱コンクール)で大活躍した学年でしたから、祝う会の会場内をとてもすてきな歌声が響きわたりました。

 ♪ NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one ♪という歌詞が好きです。偶然ですが、息子達の中学時代担任だった先生が金子みすずの『わたしと小鳥とすずと』を読み上げられて、「すずと、小鳥と、それからわたし みんなちがって、みんないい。」という言葉を送る言葉として下さいました。コネタマ参加中: 「卒業」と聞いて思い浮かぶ曲は?

 ♪ NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one ♪という歌詞と「すずと、小鳥と、それからわたし みんなちがって、みんないい。」という詞と息子達の「世界に一つだけの花」の歌声が響き合って、心に残る卒業式となりました。(感謝!)

 中学入試の頃、夫婦で読んだ『パパは塾長さん』(三田誠広著)をなつかしく再読しました。

Photo正門前のお地蔵さんに「6年間、息子を守ってくれてありがとう」と手を合わせて祈りました。中学校説明会の時も、中学校入試の日も、入学後は保護者会、体育祭、文化祭と学校に立ち寄るたびに、手を合わせて祈ったお地蔵さんです。

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2009年3月 2日 (月)

100人のマザーグース展@ピンポイントギャラリー(表参道)

100  今日は、表参道のピンポイントギャラリーで開催中の「100人のマザーグース展」の初日。早速立ち寄りました。

 マザーグースは、皆さんもご存知の通り、ナーサリー・ライムズ(Nursery Rhymes)とも呼ばれていますが、イギリスやアメリカの子供たちの間で古くから伝承されてきた童謡や詩のこと、子守唄、物語、数え唄、なぞなぞ、早口言葉など、さまざまな唄を含み、その数は1000とも2000とも言われています。

 私は、北原白秋訳『まざあ・ぐうす』を通して、その言葉に魅せられました。HNの「まざあぐうす」はその名にちなんでいます。

まざあ・ぐうす (お風呂で読む文庫 65) Book まざあ・ぐうす (お風呂で読む文庫 65)

著者:北原 白秋
販売元:フロンティアニセン
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 100人のアーティストによる100枚の原画、OLD MOTHER GOOSE. をはじめ、WHO KILLED COCK ROBIN? HEY,  DIDDLE,DIDDLE. THERE WAS AN OLD WOMAN WHO LIVED IN A SHOE.など人気の詩や唄が重なって描かれていましたが、100枚の個性豊かな絵をたっぷり楽しんで来ました。地下にある狭いギャラリーですが、壁を最大限に利用して絵がびっしりと展示されていました。

 それぞれの絵には、原詩か日本語訳が添えられていましたが、日本語訳では谷川俊太郎訳が一番多かったように思います。詩、そのものを描いた絵の中に、詩を発展させた作者の世界が描かれている作品もあり、興味深く鑑賞しました。

マザー・グース・ベスト3冊セット CD付 Book マザー・グース・ベスト3冊セット CD付

著者:谷川 俊太郎
販売元:草思社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ちなみに私が好きだったのは、東逸子さん、宇野亜喜良さん、太田大八さん、北見葉胡さん、ささめやゆきさんの絵でした。大好きな絵本作家こみねゆらさんの絵に出会えたことは思いがけずうれしいことでした。マザーグースがお好きな方には特にお薦めの展示会。

 会期は、 2009年3月2日(月)~3月14日(土) (11:00~19:00 土曜日は17:00まで&8日(日)は休み)です。

 また、出品されている作家さんは下記の通りです。

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