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2009年8月

2009年8月26日 (水)

ミリオンセラーの絵本原画と世界の絵本画家たち@損保ジャパン東郷青児美術館

 東京・新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「ミリオンセラーの絵本原画と世界の絵本画家たち」という企画展に出かけてきました。

 ちひろ美術館コレクションよりミリオンセラーの絵本原画をはじめ、国際アンデルセン賞画家賞やブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)などの国際的評価の高い受賞画家を含む世界の約18カ国70名120点の絵本原画が展示されていました。
 
開催概要
会   期 2009年7月11日(土)~8月30日(日)月曜定休
会   場 損保ジャパン東郷青児美術館

〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル 42階
開館時間 午前10時から午後6時まで、金曜日は午後8時まで
*入場は閉館の30分前まで
入 館 料  一般1000(800)円
大学・高校生600(500)円
シルバー<65歳以上>800円
中学生以下無料
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
※前売り券はチケットぴあ、ローソン等でお求め下さい(6月27日発売)
主   催 損保ジャパン東郷青児美術館、朝日新聞社、ちひろ美術館
協   賛 損保ジャパン

 絵本が好きな私にとってはたまらない位、すてきな展示でした。滅多に原画を観ることができないエロール・ル・カインやシュナイダーの原画も観ることができましたし、絵本作家を国別に分けて展示してあり、お国柄みたいなものを感じました。国によって作風が大きく異なることには驚きを感じました。古い作品ではではケイト・グリーナウエイやコルデコットの原画もあり、圧巻です。

 『ジョットという名の少年 羊がかなえてくれた夢』 の原画は宗教画のようで崇高な雰囲気を漂わせていました。心に残っている原画の一つです。

 ポスターにもなっているクラウディア・レニャツィの「わたしの家」は米粒や蝶の羽、葉っぱなどのコラージュで精密に、鮮やかな色彩で描かれていてとてもすてきでした。
 上記の「わたしの家」は下記のURLで観ることができます。
 http://www.accu.or.jp/noma/japanese/works/2002/001/index.html
 会場内には、全ての絵本ではありませんが、一部実物の絵本が置いてあって、手に取って読むこともできます。

Photo_2ミュージアムショップでもはがきやクリアーファイル(わたのしワンピース)、マグネットなど売り切れが続出しているようです。新たに仕入れられるのかどうかは定かではありませんが…。
 「わたしの家」のマグネットは最後の一個、展示番号シールが貼ってあります。

 同展示会のことは、ココナッツ・カフェのチョムプーさんのブログ(こちら!)でも紹介されています。いつもすてきな記事が満載です。

 国も時代も作風も異なるこんなにたくさんの作家さんの作品を同じ会場内で楽しめるという企画は珍しいのではないでしょうか。予想をはるかに超えて楽しめました。
 一般的な絵画とちがって、絵本の一ページの原画は、何とも言えない味わいがあります。絵本に興味の無い方でも絵本の原画の独特の良さを感じることができるのではないでしょうか。 期限が迫っていますので、ぜひ、お勧めします。

 

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2009年8月21日 (金)

『障害の重い子とともにことばを育む』(学苑社)

 『障害の重い子とともにことばを育む』(学苑社)が、下記の通り、オンライン書店ビーケーワンの書評ポータル(2009年8月21日)にて、ご紹介いただきました。

 この機会に多くの皆様に障害の重いこどもたちがどのようにことばを獲得していくのか、また、そのために実践を通して研究を重ねている先生方の存在を知っていただきたいとの願いを込めて、お知らせ致します。

-----以下、オンライン書店書評ポータル-----

 私たち日本人は
手先が器用で、実用的な工夫が得意だと言われています。反面、物事の原理をじっくりと考える力が弱いとされています。その当否はわかりませんが、書店員として、日本人の手になる骨太の文明批評のような本は意外と少ないなあ(特に最近は)という感想は持っています。今週“くまくま”さんから書評をいただいたジャック・アタリ『21世紀の歴史』には、「利益を求めずに働ける人たちが国際機関を組織し、全ての人類が必要財を手にできる、超民主主義」のアイディアが展開されているそうです。こうした巨大な見通しをきちんと展開できる人がいるというのが、欧州の強みでしょう。ところで“くまくま”さんは、この本を読んで何と東洋の叡智の書である『易経』を思いつかれたそうです。「易は、坤から乾まで、爻という横棒が順次、陰陽変化しながら状態を遷移していき、六十四卦を生み出す、というのがボクの理解だ。だから、ある状態から移れる状態は限られており、いきなり変な状態に飛んだりはしない。そして、これを社会と結びつけることにより将来を占う」。いやあ、驚きました。東洋人にしか浮かばない発想ですよね。ジャック・アタリ氏がこの書評を読んだらすごく面白がるのではないでしょうか。日本の読書人もやるものです(偉そうですみません)。皆さんも、臆せず、自由に、大胆に、独自な発想を書評の中で展開していただければと思います。

■当店の“書評の鉄人”の新刊
“浦辺 登”さん『太宰府天満宮の定遠館』
“まざあぐうす”さん『障害の重い子とともにことばを育む』

<2009.8.21 オンライン書店ビーケーワン販売部 辻和人>

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 以下、まざあぐうすの『障害の重い子とともにことばを育む』の書評です。

 心身に重い障害を抱えて生まれてきた子ども達は、様々な痛みや不快感に耐え、自らの生命維持のために多くのエネルギーを費やさなくてはならず、言葉を発することや書くことに多大な困難を生じます。また、ことばを発することや書くことができても、ことばをコミュニケーションの手段として用いることができないことが多いのです。
 本書は、「障害児のためのことばあそび」の実践を通して、どんなに障害が重い子でも、大人のかかわり方次第で自分の中のことばに気付いていくことができるという確信を得た小川原芳江氏や佐藤真理子氏を中心とする「あ」の会のメンバー(養護学校・小学校教師、保育士、看護師、施設職員、保護者)が、「子どもの心に添う」「子どもの表現力を育てる」というテーマで、発語が困難な状態の子どもたちのことばを生み出すための研究を重ねていた時期の実践記録です。

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いもとようこ絵本原画展&熊田千佳慕展

 昨日は映画『風のかたち』を観た後、大丸ミュージアムで開催中のいもとようこ絵本原画展を観て来ました。絵画としては、原画の方が良いというのはどの絵本作家の方にも当てはまるのですが、いもとようこさんのイラストには不思議な癒しの力があります。その癒しの力が原画になるとますます深くなる感じがしました。ミュージアム内がおとぎの世界、そして、癒しの空間となっていることを感じ、絵を観て、お話を読んで、深く心が慰められました。

Imotoyoko  大人になって味わう児童文学の良さのひとつに心の癒しというのがあるのではないかと思います。癒しという言葉を容易に使いたくはないのですが、日々の課題の重さに押しつぶされそうな時、ふっと児童文学作品のイラストや物語が与えてくれる癒しには独特のものがあることを感じます。

 そして、今日は、岩波ホールで上映中の「ポー川のひかり」という映画を観た後、銀座に向かい松屋創業140年熊田千佳慕展を観ました。たくさんの人が訪れてびっしりと人が押し寄せる中での絵画鑑賞でした。数年前、目黒美術館でゆっくり鑑賞した日のことをなつかしく思い出しました。蝶の鱗粉が絵からこぼれそう・・・花の花粉がふっと飛んできそう・・・そんな繊細なタッチの絵に妥協を許さない筆の動きを感じました。花の妖精を連れて帰りたくなりました。物語の種がいっぱい潜んでいる絵だった思います。(映画「ポー川のひかり」もとても良い映画でした。)

Photo おみやげに『さんしょっ子』の絵本とはがき大のクリアーファイル、ノートを買いました。包装の金の星社の袋もかわいかったです。

 8月は他にも観たい展示会や映画がありますが、これからしばらく身体を休めたいと思います。

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2009年8月18日 (火)

堀内誠一 旅と絵本とデザインと@世田谷文学館を観てきました!

堀内誠一旅と絵本とデザインと@世田谷文学館

Photo_2 今日は、主人の夏休み2日目でしたので、二人で世田谷文学館まで出かけて来ました。楽しみにしていた二つの絵本原画展の一つ、堀内誠一旅と絵本とデザインと@世田谷文学館をゆっくり時間をかけて観ることができました。

  父の堀内治雄氏が図案家、デザイナーとして、多田北烏の門下生。本所向島の長屋の中の一軒に多田北烏のサン・スタジオをまねてレインボー・スタジオを作っていたとのこと。2つのスタジオで大人達がデザイン画を描いている中で育った堀内さんは、戦後のどさくさで日本大学付属第一商業高等学校中退。1947年4月に14歳で伊勢丹百貨店入社。1948年現代美術会展激励賞。1955年アド・センター株式会社設立・・・

 経歴は、著書『父の時代・私の時代』(1979 日本エディタースクール出版部)にてご自身で語られています。参照:「松岡正剛の千夜千冊」こちら

 現在もなお、そのロゴが使用されている平凡出版(現マガジンハウス)の雑誌、「アンアン」「ポパイ」「ブルータス」「オリーブ」などの雑誌のアートディレクターとして、また、エディトリアルディレクターとして創作活動の全容が作品展示を通して紹介されていました。

 堀内誠一さんと言えば、『こすずめのぼうけん』や『マザー・グースのうた』、『ぐるんぱのようちえん』などの絵本の挿絵が浮かびますが、時代を先導するアートディレクター、エディトリアルディレクターとしての功績に驚きました。

 パリがお好きで、1974年フランスパリ郊外のアントニーに移住、1981年まで定住されていたとのこと。パリを始め、旅で訪れた土地の絵も明るくてすてきでした。

 後に夫人となる内田路子さんを通して、福音館書店の松居直氏と知り合い、絵本の挿絵創作を始め、石井桃子さんや瀬田貞二さんとの出会いを経て、本格的に絵本創作の世界へと進むことに・・・

Photo  『ぐるんぱのようちえん』 『くるみわりにんぎょう』 『マザー・グースのうた』 『秘密の花園』などの原画が展示されていました。やはり私は絵本の原画に心惹かれました。

 ランチは、ベーカリーレストランサンマルク芦花公園店でのんびりとリッチな気分を味わいました。焼き立てパンが美味しいですよ!文学館から見える池の鯉がとてもきれい、閑静な住宅街の中の世田谷文学館では今年も興味深い催し物が続きます。 

 

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2009年8月15日 (土)

鎮魂の日 8月15日を覚えて

 終戦から64年を経て、日常の中で戦争のことが語られることがほとんどなくなりました。私が幼かった頃は、近所のおばあちゃん達やおばさん達、そして、母が折に触れて戦争のことを語ってくれました。学徒出陣したおじが、たった一度だけ戦争のことを語ってくれたことがありました。実際に戦争の恐ろしさを体験した人が語る言葉や声には力がありました。

 15年前の夏、丸木美術館に子ども達と行った時に『ひろしまのピカ』を購入しました。読み聞かせをためらう私に、息子から繰り返し読むようにせがまれて、歴史を伝えるために児童文学の果たす役割を思いました。

 桜美林大学アカデミーの児童文学創作入門講座で講師の日野多香子先生より、今の子ども達の心に響くように戦争を語った絵本を2冊、紹介していただきました。8月15日、お子さん達にお薦めの絵本です。

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2009年8月14日 (金)

教師の劇団創芸 第64回公演・朗読構成劇「群青、夏へんろ」

Photo  今日は、北とぴあ つつじホール(王子駅前)で開催中の教師の劇団創芸の第64回公演・朗読構成劇「群青、夏へんろ」を観劇してきました。 故・なかのひろし氏(創芸の座付作者)の構成劇『きけうわだつみのこえ』(のちに『甦れわだつみのこえ』に改稿)を原型とした戦没学生の手記の朗読が主軸となった構成劇です。昨年の俳優座での上演に引き続き、今年も上演されました。

朗読構成劇「群青、夏へんろ」

案 なかの・ひろし
構成・演出 小野川 洲雄

2009年 8月14日(金) 午後2時 午後6時
         15日(土) 午後2時

         上演協力券 2500円
             高校生以下1500円
                    全席指定

  王子駅前 北とぴあ つつじホール

  お問い合わせ・申し込み 創芸事務所
 Tel&Fax 042-461-9266(永谷方)

 娘が小学校でお世話になった先生が劇団の主宰者ですので、1993年の『大君ノ邊ニコソ死ナメ』以来、毎年観劇させていただいています。私は戦争を知らない世代ですので、こうして毎年、戦争について考える機会が与えられることで、ふっと立ち止り、自分の命が歴史の大きな流れの中で支えられて、今あることを思います。そして、戦争は二度と起こしてはいけないことだということも。

Book 皇国ノ訓導タチ 全四作―なかの・ひろし戯曲集

著者:中野 寛
販売元:柏書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2009年8月 9日 (日)

原爆を記憶にとどめるために  思い出の絵本 No.10 『八月がくるたびに』(追記あり)

 毎年8月7日に読む『何とも知れない未来に』の古本が届きましたので、例年より遅れて読み始めました。

 日経新聞「春秋」欄に、林京子さんの小説『長い時間をかけた人間の経験』の中の70歳を間近に語った被爆者としての思いが引用されていていました。同じく引用されていた串田孫一氏の「未来は先へと逃げるが、過去はいつでも現在に雪崩れ込む」という言葉と重なり、戦争の惨禍が本人はもとより幾世代にもわたって続くことを思いました。

 小学校4年生のころ、夏休みの課題図書を通して初めて原爆というものを知った思い出の絵本。(おおえ ひで・作 篠原勝之・絵)『八月がくるたびに』(71年版)、現在販売されている愛蔵版とは異なるもののようです。

Photo_2 初版について詳しく書かれたブログ「二筋縄。」のO-Maruさんのご了承を得ましたので、「おおえ ひで・作 篠原勝之・え『八月がくるたびに』(71年初版)」の記事をリンクさせていただきます。

 今の子ども達に与えるショックを配慮して、愛蔵版はリニューアルされたのではないかと思いますが、原爆の真実を伝える迫力という点で初版の方がすぐれているように感じます。

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2009年8月 6日 (木)

原爆を記憶にとどめるために

 毎年この日が来ると、開く文庫本。今朝読もうと思って書棚を探したら見当たらない。購入しようとアマゾンやbk1を検索すると、どうも再版されていないようです。古本で再購入予定。読み継いで欲しい内容なのですが、絶版とは何とも残念!

 二度と起こって欲しくない原爆投下、黙祷を捧げました。

 本書は、大江健三郎氏の選による原爆をテーマにした13編の作品集。タイトルは、原民喜の『心願の国』という作品中の言葉、(それは滅亡か救済か、)「何とも知れない未来に」という意味である。
 原爆により受けた心身の傷、その後の苦しみや悲しみがそれぞれの作者の冷徹な目を通して語られている。苦しみや悲しみを吐露することなら誰にでもできるが、世界で初めての原爆投下という特殊な状況における深い悲しみや苦しみを作品(言語表現)として昇華するのは容易ではないだろう。

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2009年8月 4日 (火)

新世代への視点2009@銀座 ~銀座でアートな一日

 開催中の「新世代への視点2009」にて、銀座のギャラリーなつかを初めとして、11のギャラリーを巡りました。不順な天候から一転して涼しい一日、現代アートを鑑賞しながら銀座散策をしました。

 巡ったギャラリーは、藍画廊/GALERIE SOL/ギャラリーQ/ギャラリー現/ギャラリー58/ギャラリーなつか/ギャラリー山口/ギャラリイK/ギャルリー東京ユマニテ/コバヤシ画廊/なびす画廊。

 そして、心惹かれた作品は・・・

 でした。深井聡一郎氏の作品にはファンタジーを感じました。釘町一恵氏の作品には、魂の輪廻転生など風景画に人物の気配、命の気配を感じる不思議な感触があって心惹かれました。死生観を感じる作品には心惹かれます。

1  菊池絵子氏の作品は銀座1丁目の奥野ビルのOFFICE IIDAでも同時開催中で立ち寄ってきました。奥野ビルは昭和初期に建てられた古いビル、銀座の中でもお気に入りのスポットです。エレベーターのドアが手動式というのは現在珍しいのではないでしょうか。

 途中、二階健「グリムの肖像写真展」に立ち寄りました。グリム童話のグロテスクな世界に圧倒されましたが、いろいろなアートに触れて、刺激的な一日でした。

 途中、おいしいイタリアンでランチ、最後は100%CHOCOLATE CAFEでホットチョコレートを飲んで、ほっと一息。すてきな友人とアートな一日を過ごせて幸せな気分です。

Photo  帰りにいつものお気に入りのスポットを見て、地下鉄の駅に降りました。今日は、蓮の花がとてもきれいでした。一輪すてきな花を見つけて、写真を撮りました。銀座ミキモト本店前。

Photo_2 児童文学創作入門講座とヘンリ・ナウエンの講座が休講中、しばらく、ゆったりとした気分で映画鑑賞(「嗚呼、満蒙開拓団」「湖のほとりで」)や絵画鑑賞を楽しんでいます。

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