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2009年8月 6日 (木)

原爆を記憶にとどめるために

 毎年この日が来ると、開く文庫本。今朝読もうと思って書棚を探したら見当たらない。購入しようとアマゾンやbk1を検索すると、どうも再版されていないようです。古本で再購入予定。読み継いで欲しい内容なのですが、絶版とは何とも残念!

 二度と起こって欲しくない原爆投下、黙祷を捧げました。

 本書は、大江健三郎氏の選による原爆をテーマにした13編の作品集。タイトルは、原民喜の『心願の国』という作品中の言葉、(それは滅亡か救済か、)「何とも知れない未来に」という意味である。
 原爆により受けた心身の傷、その後の苦しみや悲しみがそれぞれの作者の冷徹な目を通して語られている。苦しみや悲しみを吐露することなら誰にでもできるが、世界で初めての原爆投下という特殊な状況における深い悲しみや苦しみを作品(言語表現)として昇華するのは容易ではないだろう。

  リアリズムからややシュールな手法まで幅のある作品集を通して、原子爆弾という兵器が人体と人間の心とその後の歴史に及ぼす影響の計り知れないことを感じさせられた。60年経た今も、広島・長崎の原爆の歴史は終わらない。そして、未来は滅亡か救済か、何とも知れない。

  内容:「心願の国・夏の花」(原民喜)・「かきつばた」(井伏鱒二)・「或るとむらい」(山代巴)・「ほたる」(大田洋子)・「雲の記憶」(石田耕治)・「手の家」(井上光晴)・「色のない画」(佐多稲子)・「儀式」(竹西寛子)・「氷牡丹」(桂芳久)・「人間の灰」(小田勝造)・「死の影」(中山士朗)・「空罐」(林京子)/日本ペンクラブ編。(対談解説・長岡弘芳/大江健三郎)

 数多くの作品の中から秀逸な短編を選ばれた大江健三郎氏の確かな目を感じさせられた。巻末の<対談解説>人間の条件の根底にあるもの(長岡弘芳・大江健三郎)も含めて読み応えを感じる。
 読者である原爆を知らない私たちは、未来の救済へ向けても、こうした良質の作品を読み継ぐことを通して記憶にとどめてゆかなくてはならないと思う。 (以上、ほのぼの文庫のまざあぐうすがbk1に投稿した書評です。2005年8月23日)

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