『ね,うし,とら十二支のはなし―中国民話より』 機知に富んだ愉快な「十二支のおはなし」にエキゾチックな絵が添えられています。〜十二支を日本に伝えた国・中国の民話を通して、十二支の由来を楽しんでみませんか。
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ね,うし,とら十二支のはなし―中国民話より 著者:ドロシー・バン・ウォアコム |
中国の皇帝陛下の前に、半分人間で半分神様のシュン・ユーと呼ばれる男が座っています。その片側に一匹のねずみがひざまずき、反対側に一匹の牛が立っていました。
シュン・ユーは、新しい十二支のために十二種類の動物を選んだものの、第一番目となる動物を決めかねて、動物たちに意見を聞くことにしました。そのことを気難しい皇帝陛下に頭が膝につくほど深々とお辞儀をしながら説明しています。
その場であわてて進み出た牛は、自分の大きさと力の強さを主張して深々とお辞儀をしました。ねずみも負けてはいません。皇帝陛下の前で、自分の頭の良さを主張します。
皇帝陛下は、「ほかのどうぶつたちは、こよみの中のじぶんの順番にまんぞくしておるのか?」と尋ね、シュン・ユーとうしとねずみが頷くと、それでは他の動物に決めさせるのがよかろうと言いました。
シュン・ユーは、皇帝陛下の仰せの通り、宮殿の庭にいる犬から、門にいるにわとり、湖の橋にいたいのしし、森の中のとら、さる、へび、草原にいる羊、馬、ねずみ…突然現れたりゅうに、次々と尋ねました。半分人間、半分神様のシュン・ユーですら、突然現れたりゅうに驚き、恐れています。中国では、りゅうが特別な存在であることが感じられました。
うしとねずみ以外の動物達は、十二支に加えてもらっただけで満足していると答えつつ、うしかねずみかを問われるとそれぞれの意見を述べ、うしとねずみを選んだ数が同じでした。
報告をするシュン・ユーと皇帝陛下の前で、再びうしとねずみが互いに自己主張をし始めます。うしとねずみの知恵比べです。さて、どのようにして、ねずみが、うしに勝ったのでしょうか。それは、この絵本を読んでからのお楽しみです。
中国の民話にもとづいた「十二支のはなし」は、機知に富んだ愉快なお話です。エロール・ル・カインの絵もエキゾチックで、魅力的です。十二支を日本に伝えた国・中国の民話を通して、十二支の由来を楽しんでみませんか。
(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/02/03 bk1に寄稿したレビューです。)
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