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2010年2月28日 (日)

丸田かね子・文/牧野鈴子・絵『はこちゃんのおひなさま』書評(@bk1)

はこちゃんのおひなさま (すずのねえほん No.) Book はこちゃんのおひなさま (すずのねえほん No.)

著者:丸田 かね子
販売元:銀の鈴社
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 絵本『はこちゃんのおひなさま』の書評をbk1に投稿しました。こちらです。

 書評のタイトル:おひな祭りにお勧めの一冊~おひなさまを通して、戦争を知らない子ども達に、戦争について考える機会を提供してくれる貴重な物語

 幼いはこちゃんは、おひなさまが大好きでした。
 戦争が激しくなって、本土にも空襲が始まった昭和19年、はこちゃんは遠い親戚の家に疎開しなくてはならなくなりました。大好きなおひなさまを持って行きたいというはこちゃんの願いはかないません。持ち物はわずかな着がえだけ、はこちゃんは親戚のおじさんの家でわがままも言わず、じっとがまんの日々を過ごしていました。
 とうとう熱を出して寝込んでしまったはこちゃんの元に、お父さんとお母さんとお兄ちゃんがおひなさまを持ってやってきました。家族全員とおひなさまがそろってひと安心という時、東京大空襲ではこちゃん一家は・・・。
 危うく戦火をのがれたおひなさまを、はこちゃんは毎年2月になるとかざり続けました。
 十五夜お月さん 母さんに
 も一度
 わたしは逢いたいな
 野口雨情作詞の童謡を歌いながらおひなさまをかざる幼いはこちゃんの姿は涙をそそります。 戦争が終わって60年近い年月が過ぎ、おばあさんとなったはこちゃんは、おひなさまを人形博物館へ寄贈する決心をしました。

 60年の時の流れの中で、画家の牧野鈴子氏が、なつかしい過去と過酷な戦争の記憶、そして、現在の幸せなはるこおばあさんの姿を巧みに描き分けています。おひなさまを通して、戦争を知らない子ども達に、戦争について考える機会を提供してくれる貴重な物語です。戦争を体験した世代の方々にとっては身につまされる物語であるだけでなく、浄化の涙を流すことができる物語ではないでしょうか。幼い子ども達からご高齢の方々まで幅広い年代の読者の心に響く物語ではないかと思います。
 本書に添えられた児童文学作家の日野多香子氏の「戦火の爪あとと、明日への詩」に溢れる児童文学への思いと作品へのあたたかいまなざし、作者である丸田かね子氏のあとがきに至るまで、どれもがすばらしく読み応えのある絵本です。戦争の記憶を風化させないためにも、「はこちゃんのおひなさま」が末永く読み継がれていくことを願ってやみません。
 おひな祭りにお勧めの一冊です。

 

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