映画「借りぐらしのアリエッティ」、原作をお薦めします!
メアリー・ノートンの『床下の小人たち』を原作とした映画「借りぐらしのアリエッティ」を観ました。(原作を再読して出かけました。)
原作の舞台はイギリスですが、映画の舞台は日本。アリエッティは、魔女のキキや風の谷のナウシカに似た強気な女の子として登場していました。アリエッティのイメージは良かったです!・・・が、物語としては、原作の方が断然いいかな?
『床下の小人たち』の登場人物は、父親のポッド、母親のホミリー、そして、一人娘のアリエッティ。三人家族の生活に必要なものは、すべて上の屋敷に住んでいる人間の世界から「借りて」います。思春期に近づいたアリエッティは、外の世界に強い憧れを抱いていました。そこへ、インドから病気療養のためにやってきた男の子と知り合いになってしまいます。
小人たちには、人間から物を借りてもいいが、人間に「見られ」てはならないという鉄則がありました。そんな鉄則を破って、大胆に男の子と関わっていくアリエッティの向う見ずな行動が原因で、一家は、住み慣れた屋敷を離れることに・・・。そこから、小人たちの長い旅が始まるというのが原作の第一部です。 『野に出た小人たち』『川をくだる小人たち』『空をとぶ小人たち』『小人たちの新しい家』へと物語は続きます。(ここから先は、映画のネタばれが若干あります・・・)
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床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) 著者:メアリー ノートン |
映画では、弱い存在の小人たちを人間である病弱な男の子が機転を利かせて守るという、人間>小人という関係で描かれています。映画の見どころは、アリエッティという小さくて、かわいい存在に出会ったことで、男の子が病気と闘うための勇気を得ることです。
しかし、原作の小人たちは、自分達の身は自分で守るべく、外の世界に旅立っていく勇気ある小人たちです。小さく儚い存在でもある小人たちは人間の似姿でもあり、小人たちを外なる危険な世界へと旅立たせる人間への警告的な存在でもあります。
物語のテーマが大きく、小人たちの冒険が面白く描かれています。映画を機会に原作をお薦めします。魔法が使えない登場人物が、精一杯に生きて繰り広げるファンタジーです。
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コメント
こんにちは
私も観ました。「借りぐらしのアリエッティ」とてもかわいくて、素敵なファンタジーでしたね!
しかし、原作は時間がなくてはじめの数ページ・・・・。
でもでも、はじめのページをめくって「おおこれは、名作じゃ」と思いました。
おばあさんのおうちの様子が事細かに描写されて、昔のおうちの家事の様子が広がりました。
お家での時間の過ごし方など、たっぷり感じました。
昔の名作は「赤毛のアン」などもそうですが、生活の知恵が描かれていて、とても好きです。
読んでみます。
投稿: emi | 2010年8月28日 (土) 06時47分
コメントをいただきありがとうございます。
「借りぐらしのアリエッティ」ご覧になられたのですね。
原作は、お家の中の様子などが繊細に描写されていて、生活の香りまで漂ってきそうですね。時間をかけてじっくり味わいたい物語だと、私も思います。
「床下の小人たち」だけしか読んでいませんが、残りの3篇も読んでみたいです!
投稿: まざあぐうす | 2010年8月28日 (土) 21時43分