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2010年12月

2010年12月30日 (木)

盲導犬への深い愛と理解によって生み出されたリタイア犬ポリーの物語

リタイア犬ポリーの明日 (いのちいきいきシリーズ) Book リタイア犬ポリーの明日 (いのちいきいきシリーズ)

著者:日野 多香子
販売元:佼成出版社
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 この本は、リタイア犬であるラブラドール・レトリバー“ポリー”の物語。著書『友情の二人五脚ー盲導犬の育成にとりくんだ塩屋賢一の情熱』や『ありがとう盲導犬リチャード』などで盲導犬への深い理解を示す児童文学作家日野多香子さんの新作物語です。

 リタイア犬とは、盲導犬の引退後の呼び名。ラブラドール・レトリーバーのポリーはリタイア犬となり、庄司家での生活を始めます。あたたかく迎えられたポリーですが、ボールを投げても拾わない、かけっこをしても走ろうとしない。犬を飼うことを楽しみにしていた小学校三年生の裕之は、そんなポリーの姿に戸惑いを感じますが…。
 ポリーの盲導犬としての習性を理解していく裕之、リタイア犬の姿に勇気づけられるすくすくスクールの子ども達、そして、車いすのおじさん・中谷さん、小学校の総合学習の時間に盲導犬のお話をする庄司家のお母さん…盲導犬としての役割を終えた後も、ポリーは家庭や地域で大活躍。

 挿絵は、日本児童美術家連盟会員で、『がたたんたん』(ひさかたチャイルド)で絵本にっぽん賞受賞した福田岩緒さん。福田岩緒さんが描くポリーの表情がいきいきとしていて、かわいい。ポリーの息づかいまで感じられるようです。

 私は、盲導犬をたまに見かけるだけで、触れたことも声をかけたこともありませんでした。でも、今度見かけたら、心の中で「お疲れ様」と声をかけてあげようと思います。ポリーを通して、盲導犬に深い親しみを感じました。ポリーに出会って元気になっていく車いすのおじさん・中谷さんの姿もすてきです。私達人間も犬も、リタイアした後の人生があるんだということを教えられました。この本は、明るく前向きな気持ちに満ちています。

 主人に対する「信頼」と「愛」の心で、せいいっぱい働き、自分の仕事に誇りと使命感を抱いている盲導犬の姿が、ポリーを通して感じられます。リタイア犬の様子がよく分かりました。盲導犬への深い愛と理解によって生み出された物語であることを感じます。この本を読んで、多くの子ども達に「目が不自由な人の目、心の友」として活躍している盲導犬と盲導犬を引退したリタイア犬のことを知ってほしいと思います。著者の『幸せをはこぶ使者―盲導犬からリタイア犬へ』『今日からは、あなたの盲導犬』もお薦めします。最後に、この物語のポリーへ、いっぱい働いたのだから、庄司家の皆さんとゆったりくつろいでね。

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お正月の絵本 そして ウサギの絵本

 年末にお正月に関わる絵本を三冊(『お正月さん、ありがとう』『韓国のお正月』『もちもちおもち』)読みました。その中の『お正月さん、ありがとう』が、オンライン書店ビーケーワンの今週のオススメ書評に掲載されました。今年最後のうれしい出来事でした。

 同サイトの書評フェア 「ウサギのダンス」で、来年の干支にちなんでウサギの絵本が紹介されています。こちら!です。

 これまでに投稿した書評が掲載されていました。

  • しろいうさぎとくろいうさぎ 
  • 愛をみつけたうさぎ 
  • うさぎのマシュマロ 
  • 花のかみかざり 
  • うさぎのユック 

 どれもすてきな絵本です。『うさぎのユック』は、乳がんで亡くなられた元NHKアナウンサーで女優の絵門ゆうこさんの作品です。2005年12月末に聖路加病院の礼拝堂で開かれた朗読コンサートで、ご本人による朗読を聴いた日のことがなつかしく思い出されます。山中翔之郎さんのイラストもすてきです。『うさぎのマシュマロ』は劉優貴子さんの翻訳絵本、『愛をみつけたうさぎ』はケイト・ディカミロの物語、この機会に再読したい作品です。

うさぎのユック Book うさぎのユック

著者:絵門 ゆう子
販売元:金の星社
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 十二支の絵本もいかがでしょうか? こちらです。

 今年もぼちぼちの更新でしたが、訪れていただいた皆様に感謝致します。ありがとうございました。

                                       いづみ

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2010年12月28日 (火)

声に出したくなる、楽しい、おいしいおもちの絵本

もちもちおもち (えほんのぼうけん24) Book もちもちおもち (えほんのぼうけん24)

著者:庄司 三智子
販売元:岩崎書店
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 みんな だいすき
 もちもち おもち
 まるもち
 かくもち
 つきたてもち
 もちもちもちっと
 せいぞろい

 歯切れのいい文句ではじまるこの絵本、登場するのが全ておもち。
 
 さてさて
 おもちと
 いったなら・・・と軽快なリズムの語り口で続きます。

 あなたは、どんなおもちが好きですか? あずきの あんこさんから、あべかわ きなこさん、あさくさ のりじろうさん・・・とおもちが続々と登場します。日本が誇るおもち、実にたくさんのおもちがあるんです。私は、はたけ まめのしんさんのずんだもちが好きです。おもちのおうさままで登場しますよ。さて、おもちのおうさまは・・・?

 ずんだ なんだ まめだ なんだ つぶした えだまめだ・・・と言った具合に、絵本の中で、コミカルに描かれたひとつひとつのおもちを見ながら、ことばあそびを楽しむことができます。声に出したくなる、そして、何度も読みたくなる、楽しい、おいしいおもちの絵本です。お正月にぴったりの絵本!
 この絵本の作者は、イラストレーター・絵本作家の庄司三智子さん。『おみせでみつけた』(岩崎書店)『りんごごーごー』(ひさかたチャイルド)『どんどんとんとんチャチャチャ』(ひさかたチャイルド)も楽しい絵本です。

(以上、ほのぼの文庫管理人いづみ(書評者名まざあぐうす)がオンライン書店ビーケーワンに投稿した書評です。)

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日本のお正月の原風景~お正月を迎える家族の喜びに満ちた絵本

お正月さんありがとう (えほんのぼうけん23) Book お正月さんありがとう (えほんのぼうけん23)

著者:内田 麟太郎
販売元:岩崎書店
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 雪をかぶった山が見える里で、あやちゃんは家族とお正月を迎えようとしています。あやちゃんが大好きなおじいちゃんは、夏から病気でずっと寝ています。そのおじいちゃんが、あやちゃんに、
「らいねんも レンゲばたけに いこうな」と言いました。すると、どこからかくすくす笑う声が聞こえてきました。さて、笑ったのは誰でしょう?

 あやちゃんが、おじいちゃんの部屋の窓をあけて、おじいちゃんと二人でお正月さんを呼びます。そして、
 「ことしも おじいちゃんと レンゲばたけに いくんだもーん」と叫びました。今度は、誰も笑いません。お正月さんが来てくれたからです。すると、おじいちゃんが、あやちゃんの肩によりそって・・・。

 もちつき、としがみさま、お年玉、おせち料理、福笑い・・・。絵本を開くと、お正月を迎える家族の様子がほほえましく描かれています。まるで、日本のお正月の原風景。一冊の絵本が、お正月を迎える家族の喜びに満ちています。

 また、この絵本では、核家族化した日本に欠けているおじいちゃんと孫の心の交流が、お正月という行事の中で、あたたかく描かれています。おじいちゃんと孫の関わりが巧みに描かれた絵本として、サリー・ウィットマンの『とっときのとっかえっこ』野村たかあきの『おじいちゃんのまち』が思い出されますが、それらに続く、心あたたまる絵本として心に刻みました。

 お正月よりもクリスマスの方がにぎやかな最近の日本で、お正月の意義を問い直してみませんか? 今年も1年がんばろうという気持ちにさせてくれるお正月さんに、あなたも会えるかもしれませんよ。

(以上、ほのぼの文庫の管理人いづみ(書評者名まざあぐうす)がオンライン書店ビーケーワンに投稿した書評です。)

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『韓国のお正月』(イ・サンヒ作・ホン・ソンジュ絵)(岩崎書店)

韓国のお正月 Book 韓国のお正月

著者:イ サンヒ
販売元:岩崎書店
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 お隣の国韓国でも、お正月(旧暦)はだいじな行事のひとつです。

 絵本のページを開くと、おじいちゃんの家。晴れ着を着て、ご先祖様へのお供えをテーブルに並べて、しんせきの人達をお迎えします。茶礼、新年のあいさつ(歳拝)、おじいちゃんとおばあちゃんのいいお話(徳談)、お正月の料理を作る台所の様子、ご先祖様のお墓参り、そして、お正月の遊び・・・。1960年生まれの作家イ・サンヒが幼い頃の記憶のままのに語ったお正月。

 絵本の表紙に大きなタコをあげている子ども達の絵が描かれています。そりすべりやコマ回しをしている子ども達もいます。ノルティギというシーソー遊びでは、おばさん達も遊んでいますよ。ホン・ソンジュの描くお正月の子ども達は、皆、わくわくドキドキ、楽しそう。
 かわいらしく、心温まるタッチの絵が魅力です。晴れ着から、お正月の食べ物、そして、遊びまで、大人も子どもも、全力をあげて楽しんでいる様子が描かれています。韓国のお正月は、実にダイナミック!

 韓国のお正月が分かりやすく紹介された絵本です。翻訳は、『韓国の絵本10選』(アートン新社)『十長生をたずねて』『いぬとねこ』で知られるおおたけきよみ。美しい日本語が好ましく感じられます。
 日本のお正月を紹介した絵本『お正月さん ありがとう』と合わせて、お正月に読む絵本としてお薦めします。

(以上、ほのぼの文庫の管理人いづみ(書評者名まざあぐうす)が、オンライン書店ビーケーワンに投稿した書評です。)

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2010年12月 4日 (土)

アンネのバラの苗を植えました

  アンネ・フランクにまつわるバラの花をご存知ですか? 蕾の時は赤色、開花するとオレンジ色に黄色がかった黄金色になり、時間の経過とともに花弁の先からサーモンピンクに変色し、さらに濃い赤色になるという美しいバラの花です。 

 『アンネの日記』に感銘を受けたベルギーの園芸家デルフォルヘ氏によって1955年に作出されSouvenir d’Anne Frank(アンネ・フランクの形見)と名づけられました。1960年に世に発表され、1962年にアンネの父親であるオットー・フランク氏に贈られたバラの花です。 

 4年間ほどベランダで大切に育てていたアンネのバラが、今年の春に枯れてしまい、しばらく寂しい思いをしていましたが、昨日、アンネのバラの苗が届きました。早速、プランターに植えました!

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 四季咲きの花ですので、春の訪れが待たれます。

【アンネのバラ関連日記】
・今年もアンネのバラが咲きました! こちら。 

・アンネ・フランク生誕80年 アンネのバラ解説プレート&ホロコースト記念館 こちら

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