日本のお正月の原風景~お正月を迎える家族の喜びに満ちた絵本
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お正月さんありがとう (えほんのぼうけん23) 著者:内田 麟太郎 |
雪をかぶった山が見える里で、あやちゃんは家族とお正月を迎えようとしています。あやちゃんが大好きなおじいちゃんは、夏から病気でずっと寝ています。そのおじいちゃんが、あやちゃんに、
「らいねんも レンゲばたけに いこうな」と言いました。すると、どこからかくすくす笑う声が聞こえてきました。さて、笑ったのは誰でしょう?
あやちゃんが、おじいちゃんの部屋の窓をあけて、おじいちゃんと二人でお正月さんを呼びます。そして、
「ことしも おじいちゃんと レンゲばたけに いくんだもーん」と叫びました。今度は、誰も笑いません。お正月さんが来てくれたからです。すると、おじいちゃんが、あやちゃんの肩によりそって・・・。
もちつき、としがみさま、お年玉、おせち料理、福笑い・・・。絵本を開くと、お正月を迎える家族の様子がほほえましく描かれています。まるで、日本のお正月の原風景。一冊の絵本が、お正月を迎える家族の喜びに満ちています。
また、この絵本では、核家族化した日本に欠けているおじいちゃんと孫の心の交流が、お正月という行事の中で、あたたかく描かれています。おじいちゃんと孫の関わりが巧みに描かれた絵本として、サリー・ウィットマンの『とっときのとっかえっこ』や野村たかあきの『おじいちゃんのまち』が思い出されますが、それらに続く、心あたたまる絵本として心に刻みました。
お正月よりもクリスマスの方がにぎやかな最近の日本で、お正月の意義を問い直してみませんか? 今年も1年がんばろうという気持ちにさせてくれるお正月さんに、あなたも会えるかもしれませんよ。
(以上、ほのぼの文庫の管理人いづみ(書評者名まざあぐうす)がオンライン書店ビーケーワンに投稿した書評です☆。)
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