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2011年10月 9日 (日)

『わたしたちのトビアス』(偕成社)~ダウン症という障がいに限らず、障がい児・者と共に生きていくことについて、新たな視点が与えられる絵本

 スベドベリ―家に五番目に生まれた男の子トビアスは、ダウン症という障がいを抱えていました。ダウン症は染色体の数が通常よりひとつ多いことにより起こります。両親はトビアスがダウン症であることをを子どもたちに語り、トビアスのような子どもたちのための特別な施設にトビアスをあずけることを相談しました。すると、子どもたちは、大反対。
 弟であるトビアスの障がいを知らされたきょうだいたちは、「トビアスに手がかかるなら、わたしたちみんなで、てつだうのがあたりまえでしょう」と言い、それぞれが障がいについて考えるようになりました。そして、「ふつうでない弟がいてよかった」と思います。なぜなら、「ふつうでないとはどういうことかが、わかるようになるからです。」と。
 この絵本はスウェーデンという社会福祉の進んだ国で作られました。ノーマライゼーション、つまり、障がいを抱えた人もそうでない人も社会の中で対等に生きていくのが当たり前という考え方が1960年代頃から国家の政策の中に導入されているからでしょうか。トビアスのきょうだい達は、弟であるトビアスの障がいを当然のことのように前向きに受け止めています。
 もし、あなたの家に生まれた赤ちゃんがダウン症という障がいを抱えていたら、どのようにその事実を受け止めるでしょうか? 自分や家族の障がいの受容は、私たち人間にとって永遠のテーマかもしれません。日本では、ダウン症という障がいがあることすら知らない人も少なくないでしょう。
 「みんな、いっしょにくらさないから、おたがいに、わかりあったり、すきになったりできないんだわ。」
 きょうだい達のことばに深く共感します。小さい頃から、障がいを抱えた子ども達とそうでない子どもたちがいっしょに暮らし、遊び、学び合うことができれば、その後の人生で障がいを抱えた人に出会った時に自然と理解を示すことができるのではないでしょうか。
 本書の絵はトビアスのきょうだい達が、そして、文章はお母さんが書きました。トビアスの障がいを前向きにとらえた明るく愛に満ちた絵本です。続編に『わたしたちのトビアス学校へ行く』、『わたしたちのトビアス大きくなる』があり、トビアスのその後の成長が語られています。続編も含めて、ダウン症という障がいに限らず、障がい児・者と共に生きていくことについて、新たな視点が与えられる絵本です。

わたしたちのトビアス Book わたしたちのトビアス

著者:ヨルゲン・スベドベリ
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わたしたちのトビアス学校へいく (小学1年から読みきかせたい本) Book わたしたちのトビアス学校へいく (小学1年から読みきかせたい本)

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