古田節子文/山岡勝司絵『すみれベーカリーのカナリアパン』(銀の鈴社)
パン屋のロクさんは町一番の早起きです。働き者の奥さんのすみれさんと二人が大切に育てているカナリアのルルと毎日おいしいパンを焼いています。ところが、ある冬の寒い日に奥さんのすみれさんが亡くなり、そして、カナリアのルルも…。
小さなパンの店「すみれベーカリー」のカナリアパンにまつわる物語を読んで心があたたかくなりました。口ばしのピーナッツと目の干しぶどう、そして、クリームがいっぱいつまったカナリアパン、その中に、奥さんのすみれさん、そして、カナリアのルルの命が蘇ったかのように思えたからです。ロクさんはカナリアパンを作ることを通して、深い悲しみを乗り越えました。
カナリアの死の原因となった猫のミミィ、そして、その飼い主のかおるちゃんは、まるで、天使のようです。現実と夢が交錯するかのような物語の中に、パンの焼けるとてもいい香りが漂ってきました。命の大切さ、そして、自らの使命を見い出すことの大切さを教えてくれる物語です。
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