<クリスマスの絵本・童話>

2009年12月25日 (金)

Merry Christmas♪

 今日はクリスマスですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。 

 夏以降体調を崩していまして、ブログの更新もできない日々ですが、生きていればいろいろな時が訪れることを感じるこの頃です。健康と病気と両方経験して分かったこともいくつかありました。

 新訳聖書のルカによる福音書2章1節から21節とマタイによる福音書1章18節から25節を読み、You Tubeで Silent Nightを聴きながら、心静かに一日を終えています。

Photo  絵本はケイト・ディカミロの「ゆきのまちかどに」とマーガレット・ワイズ・ブラウンの「うまやのクリスマス」を読みました。玄関に飾っていたアドベントのカレンダーや聖歌隊、イエス様の誕生を祝うお飾りを仕舞い、新たな年に向かいたいと思います。

 ゆきのまちかどに ゆきのまちかどに
販売元:TSUTAYA online
TSUTAYA onlineで詳細を確認する
うまやのクリスマス Book うまやのクリスマス

著者:マーガレット・ワイズ ブラウン
販売元:童話館出版
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 昨年、今年とブログの更新がおろそかになりましたが、訪れてくださった皆様、ありがとうございました。心より御礼申し上げます。

 メリークリスマス♪
 神聖な夜をお過ごしくださいませ。

 そして、クリスマスの夜に…ご一読ください。
 A Soldiers Poem…

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2009年11月 7日 (土)

出久根育『十二月の月たち』絵本原画展@教文館子どもの本のみせ ナルニア国

20091105_2  昨日は、久しぶりに高校時代の友人と3人でランチをしました。銀座の街はクリスマスの装いを始めていることを感じました。帰りに、教文館子どもの本のみせ ナルニア国に立ち寄りました。

(写真は銀座ミキモト本店前、お気に入りのスポットです。)

 

 

 ナルニア国では、出久根育『十二月の月たち』絵本原画展が開催中でした。

 『十二の月たち』は、チェコやスロヴァキアのスラブ地方に伝わる民話で、日本ではマルシャークの再話で「森は生きている」として知られています。演劇としてご覧になった方も多いかと思います。

十二の月たち (世界のお話傑作選) Book 十二の月たち (世界のお話傑作選)

著者:ボジェナ ニェムツォヴァー,出久根 育
販売元:偕成社
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 出久根さんが澄んでいる首都プラハは10月には雪が降り始めるとのこと。この本を描くために北東ボヘミアのクルコノシェ山地に登られたそうです。原画を観て、雪山の頂上へと一人寂しく向かうマルシェカの表情がしみじみと感じられました。雪山の中では、人間なんて本当に無力な存在なんだということが臨場感あふれる絵と語りを通して伝わってきました。

 会期:2009年10月31日(土)~12月25日(金)

 今年は、クリスマスプレゼント用に年齢別絵本コーナーが設けられていて、ロングセラーん絵本からすてきな作品がセレクトされて並べられていました。お子さんやお孫さんへの絵本のプレゼントはいかがでしょうか。もちろん、読み聞かせ付きで・・・♪

 9階のウェンライトホールでは「ハウス・オブ・クリスマス」として洗練されたクリスマス雑貨(ヨーロッパ直輸入製品)が販売されていました。

Photo  私が購入したのはROBERT SABUDAのPOP-UPクリスマスカード (26枚のカードと封筒付きで2,100円とお買い得でした。

 来年のカレンダー(ぐりとぐら、ムーミン、林明子の世界など)も出揃っていました。

追記 クリスマスまであと50日。過去に書いたクリスマス絵本、童話のレビューを再更新しました。

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2009年1月27日 (火)

愛の大切さを訴える心あたたまる物語 『赤い手袋の奇跡』

  老人ホームで余生を過ごしているサラは、クリスマスが来るたびに、自分の人生の節目となる言葉を書き記した12枚の紙飾りをツリーに吊るしながら、これまでの人生を振り返ることにしていた。とりわけ、サラに愛の奇跡を起こした自作の「サラの歌」のことを思い出す。

 今年は、サラにとって最期のクリスマスとなりそうだ。死の予感の中で、サラに自らの体験を伝えたい人物が現れた。若い介護士のベスだ。結婚生活に思い悩むベスに、サラは苦難の人生と愛の奇跡を語り始めた。

 「明日」「高望み」「興奮」「反抗」「暴露」「帰郷」「絶望」「切望」「機会」「勝利」「抱擁」「不変」という12枚の紙飾り、「サラの歌」、そして、赤い手袋・・・。

 信じる心を取り戻すのに、遅すぎることはない。
 正しい道にたどり着くのに、遅すぎることはない。
 愛を取り戻すのに、遅すぎることはない。
 もう一度やり直すのに、遅すぎることはない。
 
 「サラの歌」の最初と最後のフレーズだ。
 サラが語る愛の奇跡と愛を見出す秘密が、現在進行形のベスの家族の危機を救えるのか。そして、再び、愛の奇跡は起こるのか・・・。

 本書は、「ロサンゼルス・デイりー・ニュース」紙の記者を経て、作家となったカレン・キングズベリーの<赤い手袋の奇跡>シリーズ『赤い手袋の奇跡 ギデオンの贈りのの』『赤い手袋の奇跡 マギーの約束』に続く第三作である。
 信じる心と正しい道と愛ーわたしたちが見失いがちな大切なものを教えてくれる。たとえ、お金やモノに恵まれても、地位や名誉が与えられても、愛が無ければ、寂しい人生ではないだろうか。また、人が生きる原点は、愛すること、愛されることにあるのではないだろうか。愛の大切さを訴える心あたたまる物語だ。

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思い出の絵本 No.4 『ぐりとぐらのおきゃくさま』

  のねずみのぐりとぐらが、雪合戦をしていて、大きな足跡を見つけました。二匹は、その大きな足跡を辿ってゆきます。足跡の行きつく先は、ぐりとぐらのお家でした。
 それからが、楽しみです。中にいたのは、誰でしょう。そして、どんな出来事が待ち受けているのでしょう。とっても美味しいお話です。

  わが家の子ども達が幼い頃、何度も読み聞かせをした絵本です。子ども達は、ぐりとぐらと一緒に大きな足跡を指でなぞっていました。足跡を見つめていると、子ども達の小さな指先がふっと浮かんできます。 
  子ども達は、それが分かっていながら、読み聞かせのたびに、まるで初めて出会うような表情で、同じ場面を見つめていました。保育園が休みの日に、『ぐりとぐらのおきゃくさま』を読み聞かせすると必ずぐりとぐらがいただいた美味しいものを、「ママ、作って。一緒に作ろう」という弟。「ねえね(おねえちゃん)も一緒に作ろうよ」と知的なハンディを抱えている姉を誘って、エプロンを取りに行きます。
 3人で作った美味しいもの、小さなエプロンをして、台に乗ってお手伝いをする幼い姉と弟のほほえましい思い出です。『ぐりとぐらのおきゃくさま』を信じることができた子ども達の幼い日の思い出は、母親の私にとっても大切な宝物です。

 『ぐりとぐらのおきゃくさま』に出会える子ども達は、幸せだと思います。雪景色が美しく、森の動物達が愉快な絵本、ご家族でクリスマスの夜にいかがでしょうか。

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2007年12月31日 (月)

『とびきりすてきなクリスマス』~クリスマスって、どういう日?

とびきりすてきなクリスマス とびきりすてきなクリスマス

著者:リー キングマン
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 10歳になるエルッキ・セッパラは、感謝祭から「もうじきクリスマスです。どうぞ、とびきりすてきなクリスマスにしてください。」と毎晩祈り続けていました。セッパラ家は、長男で船乗りのマッティ、町のパン屋で働いている金髪のセイマ、16歳になる丸顔のミッコ、12歳になるものしずかなアイリ、7歳になる弟のアーニ、5歳になる双子のエラナとエノ、3歳のラウリ、そして、赤ん坊のアンナの大家族でした。
 
 赤いチェックのテーブルクロスのかかった大きなテーブル、テーブルクロスと同じ赤いチェックのカーテンのかかった窓、台所の隅には大きな黒い石炭のストーブがあり、そのそばに揺り椅子が二つ・・・セッパラ家の台所は、いつもパンやパイを焼く香ばしい匂いやシチューの煮える美味しい匂いに満ちています。台所はいつも家族でにぎやかでした。

 そんな台所に、思いがけない知らせが届きます。いつもきょうだい達に、わくわくするようなクリスマスのプレゼントを抱えて帰宅するはずのマッティの船が行方不明に・・・。

 マッティひとりいないだけで、からっぽでひっそりとした感じになってしまったセッパラ家の台所でしたが、気持ちを取り直したお母さんが、「クリスマスってどういう日だか、わすれていたようね。」と言い、「クリスマスをお祝いしないなんて、おかしいわね。」と言います。
 再び、揺り椅子に座って、編み物を始めたお母さん、モミの木を切りに行くお父さんとエルッキとミッコ、そして、10歳のエルッキが兄のマッティに代わって、密かに物置で、クリスマスのプレゼントを準備し始めます。

 クリスマスの日の朝、セッパラ家の台所は、コーヒー・パンと、ミンス・パイを焼くいい匂いがしていました。マッティが家に帰れるようにと願いを込めて、台所の窓辺に、白いろうそくを立てました。お父さんとエルッキがクリスマスツリーを居間に運び、お母さんが10組のミトンを吊るします。さて、エルッキが準備したプレゼントはどんなものでしょう。そして、兄のマッティの行方は・・・?

 作者のリー・キングマンさんのご主人のフィンランドの大家族がモデルとなって生まれたお話です。アメリカを代表する絵本作家のバーバラ・クーニーさんの白黒の挿絵がとびきりすてきです。
 
 「クリスマスは、プレゼントをもらうだけの日じゃない。イエスさまのお誕生日なんだよ。だから、だいじなのは、プレゼントをあげたいとおもう心なんだ。」というお父さんの言葉が心に残りました。つつましく暮らす一家の喜びも悲しみも分かち合うクリスマス、本当のクリスマスって何だろうということを原点に戻って考えさせてくれるあたたかなお話です。(上記は、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすがbk1に2007/12/31に投稿したレビューです。)

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2005年12月13日 (火)

『クリスマス・イブ 新版』~クリスマス・イブからクリスマスにお勧めの絵本

クリスマス・イブ新版 クリスマス・イブ新版

販売元:楽天ブックス
楽天市場で詳細を確認する

 クリスマスは、キリスト教徒にとって一年で最も大切な日、そして、子ども達にとっては一番楽しい日。
 クリスマスの前の晩、明日のクリスマスが楽しみなのでしょう。子ども達は、となかいやキャンディーやお星様や天使や3人の博士たちのことが目に浮かんで、真夜中になっても、眠れません。
 「ねむるまえに みんなで したへいって クリスマス・ツリーにさわって おねがいごとをしよう」とベッドから抜け出して、そうっと階段を降りてゆきます。

 窓の外は雪景色。静かにしんしんと雪が降っていました。
ひいらぎの赤い実や緑の大きな葉
 もみのき、暖炉の火、クリスマスプレゼントの包みの匂い
 消えかけた暖炉の火がぱちぱちと爆ぜています。

 真夜中に子ども達の見たものは、そして、しんしんと降る雪の中から聴こえてきた歌声は・・・。
 わずか42歳で亡くなるまでに100冊以上もの絵本を世に送り出したマーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作となった作品です。
 クリスマスを迎える子ども達の心弾みと大人達の真夜中の厳かな営みを静かに伝える絵本、ベニ・モントレソールのオレンジと黒と黄色の三色の絵がクリスマス・イブの雰囲気を神秘的にかもし出しています。クリスマス・イブにお勧めの一冊です。
マーガレット・ワイズ・ブラウンには、バーバラ・クーニーの絵による『うまやのクリスマス』という絵本があり、多くの動物たちが見守るなか、イエス様が誕生する様子が印象的な絵と美しい言葉でつづられています。

 クリスマス・イブからクリスマスにかけて、マーガレット・ワイズ・ブラウンの作品『クリスマス・イブ』と『うまやのクリスマス』を続けて読んでみてはいかがでしょうか。

(以上、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/12/13、bk1に投稿した書評です。)

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『あすはたのしいクリスマス』~「かあさん」へのクリスマスプレゼント

 あすはたのしいクリスマス あすはたのしいクリスマス
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する
 『あすはたのしいクリスマス』は、神学者、そして、文筆家であるクレメント・クラーク・ムーアが、自分の子どもたちのために、オランダの伝承とそのお祭りを元として作ったA Visit from St. Nicholasという詩にトミー・デ・パオラがイラストを添えた絵本です。
 原詩は、今から180年ほど前のアメリカで発表されて以来、「八頭立てのトナカイに乗ってやってくる小人のサンタクロース」というイメージが定着したと言ってもいいほど有名な詩です。
 クリスマスを楽しみに子ども達が寝静まった頃、小さな八頭のトナカイとやってくる小人のサンタクロース、八頭のトナカイの名前が「ダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクスン・コメット・キューピッド・ドンダ−・ブリッツェン」と詩の中で呼ばれているところなど、原作者であるムーアの細やかな心遣いを感じます。そして、サンタクロースに出会うのが子ども達ではなく、大人である「とうさん」であることも、子どもの頃、サンタクロースを信じていた「とうさん」に再び夢を見せてくれるムーアの思いやりでしょうか。愛と喜びと神秘に満ちた詩です。

 同じ詩による絵本は、日本でも数冊翻訳され出版されていますが、お勧めはターシャ・テューダーの『クリスマスのまえのばん』とトミー・デ・パオラによるこの絵本ではないでしょうか。
 ターシャ・テューダーの『クリスマスのまえのばん』の魅力は、中村妙子さんの五七調のリズミカルな日本語訳と私たち人間だけでなく、ネズミやウサギ、犬や猫、小鳥など小動物にも訪れるクリスマスの喜びが余すところ無く描かれている点にあると思いますが、トミー・デ・パオラの絵本の魅力は、「とうさん」だけでなく、「かあさん」も目覚めて、二人でサンタクロースの様子を見ている点にあるのではないでしょうか。
 この絵本を作るにあたり作者であるトミー・デ・パオラは19世紀中ごろのニューイングランドの町を想定し、水彩絵具とインクでできるだけ原詩に忠実に描くように努めたそうですが、「かあさん」を絵の中に登場させている点だけは作者独自のアイデアです。
 ナイト・キャップをかぶってパジャマにガウンを羽織った二人は、最初、ドアの隙間から恐る恐るサンタクロースの様子を見ていますが、サンタが「まるまるふとって まったく ゆかいなようせいだ」と分かってからは、サンタが二人にウィンクすると安心して笑顔を浮かべています。
「とうさん」だけでなく、「かあさん」にもサンタを見せてくれたのは、トミー・デ・パオラからの多くの「かあさん」達へのクリスマス・プレゼントでしょうか。サンタを見つめる二人の姿が微笑ましく感じられました。

 サンタの顔も、原詩に忠実に描かれ、きらきらとほしみたいな目、バラの花のようなほっぺ、ポツンとさくらんぼのような鼻、おどけてちっちゃな口元、まあるくちっちゃなたいこばら・・・絵を見ているだけで、とても愉快な気持ちになります。
 また、各ページの絵をふちどっている刺し子の模様の飾り枠もすてきです。 クリスマス・イブにいかがでしょうか。(以上、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/12/13、bk1に投稿した書評です。)

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2005年11月30日 (水)

初めてのクリスマス絵本

クリスマスって なあに Book クリスマスって なあに

著者:ディック=ブルーナ
販売元:講談社
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 うさぎのミッフィーシリーズで有名なディック・ブルーナが、聖書の記事に基づいて語るイエス・キリストの生誕物語。羊飼いと羊、天使、馬屋と星、ヨセフとマリア、みどりごのイエス様、そして、東方から来た三人の博士の絵だけが描かれています。
 クリスマスは、神様のひとり子イエス様が生まれ日であること、そして、その誕生をお祝いする日であることが短く分かりやすく語られています。シンプルな絵と聖書に忠実なストーリーが魅力の絵本です。
 聖書のお話を理解するのが難しい3歳未満の幼い子ども達にクリスマスの由来や意味を語る時、ぴったりの絵本ではないでしょうか。初めてのクリスマス絵本としてお勧めします。

(以上、ほのぼの文庫管理人まざあぐうすが2005/11/30、bk1に投稿した書評です。)

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『クリスマスのものがたり』~クリスマスを語る絵本の最高傑作として一押し♪

クリスマスのものがたり (世界傑作絵本シリーズ―日本とスイスの絵本) Book クリスマスのものがたり (世界傑作絵本シリーズ―日本とスイスの絵本)

著者:フェリクス・ホフマン
販売元:福音館書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 スイスで活躍し、世界的にも有名な絵本作家であるフェリックス・ホフマンの遺作となったクリスマスの物語。
 大天使ガブリエルによる受胎告知に始まり、エジプトへの逃避行、そして、ナザレへの帰郷に至るまでが、聖書の記事(マタイによる福音書2:1〜23、ルカによる福音書1:26〜40)に基づき忠実に描かれています。
 フェリックス・ホフマンは、『おおかみと七ひきのこやぎ』を三女に、『ねむりひめ』は次女にというように、わが子や孫たちのために絵本作りを始め、その後も『ながいかみのラプンツエル』『七わのからす』、『うできき四人きょうだい』や『つぐみのひげの王さま』『おやゆびこぞう』など、グリム昔話の美しい絵本を数多く手がけています。
 グリム昔話を描き続けたホフマンが人生の最後に選んだイエス・キリストの降誕物語、ホフマンのキリストに寄せる思いと画業の全ての結実と思えるすばらしい絵本です。
 クリスマスを語る絵本の中の最高傑作と言っても言い過ぎではないと思います。芸術的にもすぐれ、聖書に忠実な語りが見事な絵本、子ども達だけでなく大人の鑑賞にも十分に堪える崇高な美しさを備えています。

(以上、ほのぼの文庫管理人のまざあぐうすが2005/11/30、bk1に投稿した書評です。)

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2005年11月 9日 (水)

『クリスマスのまえのばん 改訂新版 』~クリスマスを迎える喜びを描いた神秘的で美しい絵本

ターシャテューダー クリスマスのまえのばん Book ターシャテューダー クリスマスのまえのばん

著者:クレメント・クラーク ムア
販売元:偕成社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 『クリスマスのまえのばん』は、神学者、そして、文筆家であるクレメント・クラーク・ムーアが、自分の子どもたちのために、オランダの伝承とそのお祭りを元として作ったA Visit from St. Nicholasという詩にターシャ・テューダーがイラストを添えた絵本です。

 原詩は、今から180年ほど前のアメリカで発表されて以来、「八頭立てのトナカイに乗ってやってくる小人のサンタクロース」というイメージが定着したと言ってもいいほど有名な詩です。
 クリスマスを楽しみに子ども達が寝静まった頃、小さな八頭のトナカイとやってくる小人のサンタクロース、八頭のトナカイの名前が「ダッシャー・ダンサー・プランサー・ビクスン・コメット・キューピット・ダンダ−・ブリッツェン」と詩の中で呼ばれているところなど、原作者であるムーアの細やかな心遣いを感じます。そして、サンタクロースに出会うのが子ども達ではなく、大人である「とうさん」であることも、子どもの頃、サンタクロースを信じていた「とうさん」に再び夢を見せてくれるムーアの思いやりでしょうか。愛と喜びと神秘に満ちた詩です。
 クリスマスを描くためにターシャ・テューダーが厳選した詩であることを感じます。原詩もすてきですが、中村妙子さんの七五調の日本語訳がとてもリズミカルで愉快に読み進むことができます。
 この絵本は1999年にターシャが全面的に絵を描き直した最新版、原詩に忠実に描きながら、ターシャ・テューダーのクリスマスの世界を巧みに描き込んだ神秘的で美しい絵本です。
 表紙をめくると、その裏にはターシャが愛するコーギ犬達がハーブやトランペットを弾き、クリスマスを祝っています。雪に包まれた家や木々の風景は、ターシャの住むバーモント州の雪景色を思わせます。ページごとに美しい縁取りをされた絵の中に、ターシャが住む18世紀のニューイングランド様式の住居の隅々が描かれているようです。暖炉やキッチンに置かれた用具、ベッドや家具調度類、全てが繊細に描かれています。
 煙突から飛び出したサンタクロースは、コーギ犬を撫で、猫やふくろうと戯れる小柄で陽気なおじいさん、私たち人間だけでなく、ネズミやウサギ、犬や猫、小鳥など小動物にも訪れるクリスマスを迎える喜びが余すところ無く描かれているのではないでしょうか。
 クリスマスを迎える喜びを描いた神秘的で美しい絵本としてお勧めの一冊です。

(以上、ほのぼの文庫管理人のまざあぐうすが2005/11/02、bk1に投稿した書評です。)

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