[老い]

2011年2月12日 (土)

ことばの世界を楽しく、豊かに! ~雨の音をユニークなオノマトペで表現した絵本~

ぴっつんつん Book ぴっつんつん

著者:後路 好章,武鹿 悦子
販売元:くもん出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 雨の音って、どんな風に聞こえますか?
 わたしは、佐野洋子さんの絵本『おじさんのかさ』の「あめが ふったら ポンポロロン  あめが ふったら ピッチャンチャン」という歌を雨が降るたびに思い出します。

 『ぴっつんつん』は、「あめが つんつん ぴっつんつん」という語りではじまり、「ぴっつん つつーん ぴっ つん つん」で終わります。「じゃぶじゃぶ ばちゃばちゃ」や「べちゃべちゃ びちゃびちゃ ぐちゃんぐちゃん」のような音のあとに、「ぴっつんつん」とリズミカルなオノマトペが続きます。「べちゃべちゃ びちゃびちゃ」という雨の音なら、私もよく聞きます。でも、「ぴっつんつん」と聞こえたことはありません。
 雨の降る音が、「ぴっつんつん」と聞こえるなんて、何とすてきな感性でしょう!「あめあめ すんすん すんすんすん」など、雨の音をユニークなオノマトペで表現した楽しい絵本です。

 発声にハンディを抱えた子ども達やことばにハンディを抱えている子ども達に、読んであげたいと思いました。自由に、好きなように、音を発していいんだよと、この絵本が教えてくれそうな気がするからです。
 ユニークなオノマトペで描かれた絵本に、庄司三智子さんの『もちもちおもち』『どんどん とんとん チャチャチャ』などがありますが、音を楽しみながら、コミュニケーションの手段としてのことばの世界に近づいていくことができたら、ハンディのある、無しに関わらず、子ども達のことばの世界が豊かになるのではないでしょうか。

 私も、絵本の中で出会った雨の音で、憂鬱な雨の日を楽しむことができそう!ことばの世界を楽しく、豊かにしてくれる絵本として、『ぴっつんつん』をお薦めします。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月27日 (火)

愛の大切さを訴える心あたたまる物語 『赤い手袋の奇跡』

  老人ホームで余生を過ごしているサラは、クリスマスが来るたびに、自分の人生の節目となる言葉を書き記した12枚の紙飾りをツリーに吊るしながら、これまでの人生を振り返ることにしていた。とりわけ、サラに愛の奇跡を起こした自作の「サラの歌」のことを思い出す。

 今年は、サラにとって最期のクリスマスとなりそうだ。死の予感の中で、サラに自らの体験を伝えたい人物が現れた。若い介護士のベスだ。結婚生活に思い悩むベスに、サラは苦難の人生と愛の奇跡を語り始めた。

 「明日」「高望み」「興奮」「反抗」「暴露」「帰郷」「絶望」「切望」「機会」「勝利」「抱擁」「不変」という12枚の紙飾り、「サラの歌」、そして、赤い手袋・・・。

 信じる心を取り戻すのに、遅すぎることはない。
 正しい道にたどり着くのに、遅すぎることはない。
 愛を取り戻すのに、遅すぎることはない。
 もう一度やり直すのに、遅すぎることはない。
 
 「サラの歌」の最初と最後のフレーズだ。
 サラが語る愛の奇跡と愛を見出す秘密が、現在進行形のベスの家族の危機を救えるのか。そして、再び、愛の奇跡は起こるのか・・・。

 本書は、「ロサンゼルス・デイりー・ニュース」紙の記者を経て、作家となったカレン・キングズベリーの<赤い手袋の奇跡>シリーズ『赤い手袋の奇跡 ギデオンの贈りのの』『赤い手袋の奇跡 マギーの約束』に続く第三作である。
 信じる心と正しい道と愛ーわたしたちが見失いがちな大切なものを教えてくれる。たとえ、お金やモノに恵まれても、地位や名誉が与えられても、愛が無ければ、寂しい人生ではないだろうか。また、人が生きる原点は、愛すること、愛されることにあるのではないだろうか。愛の大切さを訴える心あたたまる物語だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

001 アンデルセン 002 宮澤賢治 003 ターシャ・テューダー 004 新藤悦子 005 梨木香歩 006 ジミー・リャオ 007 赤羽末吉 009 エム・ナマエ 010 江國香織 011 中脇初枝 013 いもとようこ 014 こみねゆら 015 荒井良二 016 ケイト・ディカミロ 017 三田誠広 018 モンゴメリ 019 はせみつこ 020 アンネ・フランク 021 アン・グットマン&ゲオルグ・ハレンスレーベン 022 日野多香子先生 111 ほのぼの日記(読書日記) <お正月の絵本> <クリスマスの絵本・童話> <グリム童話> <ファンタジー> <一般書> <児童文学作品> <十二支の絵本> <大人の絵本> <思い出の絵本> <昔話、民話> <絵本> <障害をテーマとした児童文学作品> <韓国の絵本・童話> [命、死、魂] [宗教] [性、愛] [戦争と平和] [歴史] [老い] [言葉 コミュニケーション] ■bk1今週のオススメ書評採用 『お月さん、とんでるね 点頭てんかんの娘と共に生きて』 おすすめサイト お菓子 はじめに アンネのバラ シリーズ ほるぷクラシック絵本 シリーズ 源平絵巻物語 マザーグース ユング心理学 事典、辞典 児童図書相談士 児童文学創作入門講座 地球交響曲 展示会情報 復刊ドットコム 映画・テレビ 演劇公演 目黒川の桜 絵本論、ガイドブック 英語 読み聞かせ 講演会