子ども達に伝承すべき日本文化の生活の知恵と工夫 『昔の子どものくらし事典』
子ども時代の記憶を辿ると何が見えますか。そして、どんな音や声が聞こえますか。
私が子ども時代を過ごした昭和30〜40年代は、はらっぱや空き地、路地裏で年齢の異なるたくさんの子ども達が遊んでいました。今のようにテレビゲームなど無い時代でしたので、天気の良い日は夕暮れ時まで外で元気に遊んだものです。ゴムとび、まりつき、大なわとび、木登り、缶けり、ちゃんばらごっこをする男の子たち、べーゴマで遊ぶ男の子たち・・・たくさんの子ども達の姿とその元気な声、なわとび歌や手まり唄が聞こえてきます。
しかし、幼い頃の記憶は夏の空をゆくちぎれ雲や夕陽にきらめく波のように断片的でとらえがたいものでもあります。「お母さんの子どもの頃はね・・・」「先生の子どもの頃はね・・・」と子どもたちに語りたくなった時、お勧めの一冊が『昔の子どものくらし事典』、昭和30〜40年代を中心とした子どもたちの家庭や学校での生活、遊び、年中行事が写真入り、イラスト入りで分かりやすく紹介されている大型本です。
「玄関そうじ」「くつみがき」「おつかい」「子守り」「かせくり」・・・子ども達には家庭での役割が与えられていました。「草花遊び」「土手すべり」「わりばし鉄砲」、「何もなくても遊べる」[外遊び][家遊び]、「さいごまで大事につかったえんぴつ」や「生まれ変わる古いセーター」・・・経済的に豊かな時代を生きている今の子ども達にぜひ知ってもらいたい生活の知恵や工夫に満ちています。
「鬼」という言葉の語源を、「花いちもんめ」の言葉の由来を知っていますか。各ページの「ことば」「コラム」「マメちしき」には子ども達に伝承すべき日本の文化に関する知識が分かりやすく説明されています。
今は姿を消してしまった女性用の運動着の「ちょうちんブルマ」や街頭紙芝居、買い物かご、ソノシート、空き地に置かれた土管(ヒューム管)などなつかしい品々や風景の写真に思わず見入ってしまいました。幼い頃のアルバムを開くように手にするのもいいでしょう。
また、子ども達に伝承すべき日本文化の生活の知恵と工夫を学ぶ時に参照するのもいいでしょう。子ども達が一人で読むのではなく、両親、祖父母、学校の先生など大人が自分の思い出を語りながら、読んであげるのが一番いいのではないでしょうか。
同じく岩崎書店刊行の『くらべてみよう100年前と』(全五巻)や『学習に役立つくらしのうつりかわりシリーズ』(全8巻)と小林 克監修『昔のくらしの道具事典』と併せてお勧めします。
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