シリーズ ほるぷクラシック絵本

2009年1月30日 (金)

絵本史の黎明期の記念すべき絵本ー150年以上読み継がれている世界的ベストセラー絵本  『もじゃもじゃペーター』

 精神科の開業医だったホフマンがクリスマスの贈り物として、3歳になる自分の子どものために絵を描き、詩を添えた創作絵本、幼い子ども達のために創られた最初の絵本です。
 指しゃぶりをする男の子、マッチで火遊びをした女の子、爪や髪の毛をのばし放題の男の子・・・言うことを聞かない子ども達が受ける罰は結構怖いものです。躾絵本的な色彩が濃いものの、愉快なイラストによって辛うじて面白さをかもし出しています。昔話を読むような感覚で受け止めるとよいのでしょうか。

 初版が1845年に出版されるやいなや大評判を得て、以来150年以上にわたって多くの国の言葉に訳され、600版以上を重ねています。非常に教訓的な内容ですが、絵本の中の世界的なベストセラーとなった記念すべき一冊、シリーズほるぷクラシック絵本の中で現在も購入可能な絵本です。

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ロシア版シンデレラ物語ー芸術性の高い絵本として復刊を希望ています。  『うるわしのワシリーサ』

 物語の主人公は、美しいワシリーサという女の子。
 8歳の時に母親に先立たれたワシリーサは、意地の悪い継母に引き取られ、二人の連れ子と継母の三人からひどい仕打ちを受けながら働かされますが、実母から授かった魔法の人形がワシリーサを救います。
 ロシアの魔女(鬼婆)ババ・ヤーガが登場し、ロシアの森を背景に繰り広げられる物語。『うるわしのワシリーサ』はロシア版シンデレラ物語と謳われているロシア昔話です。
法律学を学ぶかたわら、絵画学校に通ったイヴァン・ビリービンは、バレエの舞台装置や衣装デザインをてがけるかたわら、ロシアの昔話や童話のイラストを描き、芸術性の高い作品を遺しています。
 絵本が出版されたのが20世紀初頭の1902年。
 ビリービンは、本の一ページ一ページを表現の重要なフレームと見なし、縁飾りやレタリングとイラストレーションを一体化させて、本全体を一つの独立した芸術世界としています。
 シリーズほるぷクラシック絵本の16冊中でも、とりわけ美しい大型絵本です。物語もイラストも芸術性が高く、ぜひこれからも読み継いで欲しい絵本です。現在絶版ですので、復刊を希望しています。

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芸術性の高い歴史絵本ーM・ブーテ・ド・モンヴェルの最高傑作 『ジャンヌ・ダルク』

 百年戦争の後期、フランスの解放を神に託されたと信じ、シャルル七世から授かった軍隊を率いてオルレアン城の包囲を解くなどフランスの危機を救った少女ジャンヌ・ダルクを描いたモンヴェルの絵本。

 わずか18歳にして国民的英雄となったジャンヌ・ダルクはドンレミイというフランス東部の小さな農村の娘でした。若き乙女ジャンヌ・ダルクの純真さ、美しさが繊細に穏やかな色調で描かれています。
 また、当時の王侯貴族の絢爛な様、英仏軍の戦いの有様、ジャンヌ・ダルクを囲む民衆の表情、宗教裁判の非情な様、監獄の中の悲惨さ、夢に現れる聖女の美しさ・・・ジャンヌ・ダルクが勇敢に闘った後、イギリス軍の捕虜となり、生きながら火あぶりの刑に処されるまでの全てが動きを伴い、まるでお芝居の一場面を観るように描かれています。
 ジャンヌ・ダルクが勇敢にイギリス軍と闘った地オルレアンは、モンヴェルの生まれ故郷でもあり、特別な思い入れがあったのでしょう。モンヴェルの作品の中で最高傑作と評されています。

 同時代のイギリスの絵本作家ケイト・グリーナウエイやウォルター・クレインの影響を受けつつも、穏やかな色調と慎み深い表現がモンヴェル独自の魅力となっているのではないでしょうか。
 

 一冊の絵本を通して、ジャンヌ・ダルクの勇気とひたむきな信仰が感じられる、洗練された美しい絵本、表紙がクロス張りの豪華な絵本です。現在絶版となっていますが、歴史絵本としても、芸術性の高い絵本としても復刊の価値のある絵本であると信じます。多くの子ども達に読み継いで欲しい絵本としてお勧めします。

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