梅雨の頃、故高堂家の勝手の土間から板の間に上がったとき、床がズボッと抜けた。そのままにしておいたら、そこからいつの間にか奇妙な蔓性の植物が生えてきた。いつのまにか板の間の天井いっぱいに網をかけるようにして誇り、土間の方の屋根裏にまで向かい始めた。
写真は、カラスウリの花。

まだ寝ぼけていた綿貫に、天井の方にくしゃくしゃのレェスのような白い固まりがあちこちしているのが見えた。白い花弁の周りに、まるでそれの吐息のような白い糸が絡んでいる。夢の続きを見ているようである。それとも今が夢なのかと綿貫は思った。

花期:夏
実期:秋

 樹木などにからみついて蔓を伸ばしています。夕方になると白い花を開きます。花弁の先端が細い糸状になり,レースのように見えます。
 秋にラグビーボール状の赤い実をつけます。この中には無数の黒い種がありますが,その形が打ち出の小槌に似ているというので,財布の中に入れておくとお金が貯まると言われています。(Botanical Gardenより)